とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

過労死と労災認定の変化

こんにちは。冨樫純です。

 


「過労死と労災認定」に関するコラムを紹介します。

 


労災認定が時代とともに、変化してきていることを知りました。

 

 

 

毎晩遅くまで働いていた人が、ある日突然自宅で脳出血で死亡する。

 


あるいは、出張先で急に具合が悪くなり心筋梗塞で亡くなった。

 


こういった話をあなたは身の回りで聞いたことはない?

 


こんな場合、残された家族にすれば、お父さんは仕事が原因で亡くなったと思う。

 


一方で、こういった脳·心臓疾患(脳出血くも膜下出血脳梗塞心筋梗塞など)は日本の死因の1/3 を占め、高血圧や動脈硬化、動脈りゅうなどの基礎疾患に加齢や日常生活上のさまざまな要因が関わって、仕事とは関係なくともよく起きる病気。

 


このため、従来の行政の認定基準では、こういった脳·心臓疾患が業務上と認定されるためには、仕事によって、基礎疾患が加齢や日常生活の諸要因による自然的経過を超えて、急激に著しく増悪して発症したことが必要だとして、厳しい要件を課していた。

 


そこで、業務上と認定されなかった遺族が納得せず訴訟になる事例が相次ぎ、しだいに裁判の結果、業務上と認められるケースが増えてきた。

 


また、厳しい認定に対して世論の批判も強まり、1995年に行政上の認定基準が改正された。

 


これによって、発症前1週間より前の業務も積極的に考慮して総合的に判断し、また、業務が過重かどうかをその勤め人の年齢と経験を考慮に入れて判断することになった。

 


これにより実際上、脳·心臓疾患の業務上認定は相当に緩和されることになった。

 


さらに最近では、仕事の強い心労が重なって精神疾患を発症したり、その結果自殺するといった事例も増増えている。

 


このため、精神障害を対象とした労災の新たな認定基準が1999年につくられ、認定が緩和された。

 


その結果、労災認定される精神障害の事例も急増している。

 


これらはいずれも判断の難しい問題ではあるが、働く環境や社会の変化に応じて「業務上」の判断基準も変わっていかなければならないことの好例だ。

 


下記の本を参考にしました。

『はじめての社会保障 』福祉を学ぶ人へ

椋野美智子・田中耕太郎著  有斐閣アルマ