こんにちは。冨樫純です。
「確定拠出年金」に関するコラムを紹介します。
個人的には、あまりメリットがないように感じます。
確定拠出年金とは、あらかじめ給付額を約束せず、拠出した金額を個人ごとに明確に区分し、掛け金とその運用収益との合計額をもとに給付額を決める仕組みだ。
これだと、企業は定められた掛け金を負担すればよく、追加の負担がない。制度設計も簡単だ。だから、大企業でなくても導入しやすい。
また、個人の持ち分が明確で転職のときにその分を持ち運べば、不利になることもない。
だから、終身雇用制が崩れて転職が多くなる時代には適している。
ただし、給付額は運用しだいで、運用がうまくいかなかったら、給付額が少なくなる。
確定給付企業年金や厚生年金基金だったら、企業が当初約束した給付額を確保するために少なくとも一部は追加で拠出する。
つまり、運用のリスクの一部は企業も負担するわけだ。
ところが、確定拠出年金では、運用のリスクは給付が少なくなるという形で全面的に個人が負う。給付が確定していないから、老後の生活設計もたてにくい。
転職をしない個人にとっては、確定給付企業年金や厚生年金基金の方がよいが、企業年金をつくるかどうかは企業の自由だから、企業にとって負担が重すぎると企業年金をつくらなくなる。
何もないよりは確定拠出年金があった方が、転職をしない個人にとってもプラスだ。1つの会社が両方のタイプの年金をもつことも可能だ。選択肢は多い方がよい。
どういう企業年金をつくるかは、会社と従業員側がよく話し合って決めることが大切だ。
なお、自営業者などを対象とした個人型の上乗せ年金として国民年金基金があるが、これらの人を対象とした確定拠出年金も創設された。
また、企業年金も企業型の確定拠出年金もない会社に勤める人も、個人型の確定拠出年金に加入できる。ただし、サラリーマンの妻の専業主婦などの第3号被保険者は加入できない。
掛け金は、企業型では企業が、個人型では個人が拠出するが、積み立てた年金資産をどう運用するかは、企業型であっても加入者が自分で決めて、企業や企業から運営管理を委託された銀行などに指図する。
運用は預貯金や投資信託などで行われ元本割れのリスクを伴うものもあるので、企業は加入者に対して投資教育などの情報提供を行うよう努めることとされている。
下記の本を参考にしました。
『はじめての社会保障 』福祉を学ぶ人へ
椋野美智子・田中耕太郎著 有斐閣アルマ