とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

専業主婦の年金問題

こんにちは。冨樫純です。

 


社会保障の世帯単位と個人単位」に関してのコラムを紹介します。

 


社会保障制度に関するニュースを見る時、役立つ知識だと思います。

 


社会保障制度における負担と給付のあり方を考えるうえで重要な考え方に、世帯単位と個人単位という分類がある。

 


周知のように、生活保護制度では世帯を単位として保護の要否と程度を定めるとしている。

 


しかし、世帯単位と個人単位の問題が大きく取り上げられたのは、基礎年金改革に際しての給付水準の設定や専業主婦に対する年金権の付与をめぐってである。

 


基礎年金改革以前の旧厚生年金における老齢年金は、妻が専業主婦であることを前提に、引退労働者とその妻からなる世帯を単位に、支給額を想定していた。このため、一般的には夫の年金受給権により夫婦二人の生活が支えられていたことになる。

 


しかし、これでは妻の年金受給権が暖味であり、中高年で離婚した場合などには、妻に年金受給権が保障されないこととなる。

 


そこで現行の年金制度では、専業主婦にも年金権を確立するため、自らは保険料を負担しないものの、夫の加入する年金制度が保険料を負担し、夫婦それぞれが基礎年金を受給し、これに夫の受給する厚生年金等を加えて、夫婦二人の所得を保障している。

 


このように年金制度の場合には、受給権者、すなわち被保険者であった者以外に、その配偶者をも含めた世帯を単位に支給される給付のあり方を世帯単位といい、保険料を負担した受給権者だけを対象とする給付のあり方を個人単位という。

 


そして、個人単位の考え方を徹底すると、生計維持者が死亡した場合に支給される遺族年金は必要がないということになる。

 


また、負担の側面に着目すると、年金制度ばかりでなく医療保険制度においても、世帯単位と個人単位の問題が存在することがわかる。

 


健康保険における保険料は、被保険者たる労働者が負担するだけで、その被扶養者は保険料を負担することなく家族療養費の支給を受けることができるからである。

 


これに対して、国民健康保険では被扶養者という概念は存在せず、世帯構成員はすべて被保険者として、保険料を負担することを原則としている。

 


したがって、医療保険制度においても健康保険では世帯単位を、国民健康保険では個人単位を採用しているということができる。

 


下記の本を参考にしました。

社会保障法有斐閣 加藤 智章著