こんにちは。冨樫純です。
「基礎年金の税方式化」に関するコラムを紹介します。
やはり、給付に見合う負担を誰が負担するのが、一番の問題だと思います。
賦課方式か積立て方式かというのは、どちらも社会保険方式の中での話。
これを超えて、基礎年金の財政方式を社会保険方式から税方式に転換することを主張する意見もある。
その理由は、主に次のようなことだ。
① 定額保険料であるため、所得の低い人の負担割合が高く(逆進性)、今後保険料が引き上げられるに伴い、所得の低い人はますます払えなくなり、「空洞化」が進む。
現在の保険料水準(月額1万3300円)は負担可能な上限に達しており、現行の方式では、今後基礎年金の費用を適切にっていくことはできない。
②拠出を前提に給付する社会保険方式では、現実に年金を得られない人が生まれることは避けられない。
これに対して、次のような反対論もある。
①個人が保険料を拠出して将来のリスクに事前に備えることを共同化した仕組みである社会保険のメリットは大きい。
②拠出と給付の関係が切れると、所得制限がもちこまれたり、権利性が弱められ、第2の生活保護化するおそれがある。
③消費税を充てるとすると、最終的に基礎年金分だけで税率が9%になり、確保できないおそれがある。
事業主負担分の保険料がなくなり、その分も税負担に回るので個人の税負担の増加になる。
税方式と社会保険方式、それぞれ長所短所はあるけれど、どちらの方式でも、給付に見合う負担を誰かがしなければならないのは確か。
税方式にしたら負担がなくなるわけではない。
税方式は、その年度の年金給付に必要な分をその年度の税で賄うということだから、その意味では完全賦課方式と同じで、若い世代の負担は重くなる可能性が高い。
大切なのは、給付と負担の水準について国民の間で、合意をつくること。
老後の生活保障にはどの程度の年金が必要で、そのために誰がどの程度の負担をするのか、その合意がなければどちらの方式も立ち行かない。
下記の本を参考にしました。
『はじめての社会保障 』福祉を学ぶ人へ
椋野美智子・田中耕太郎著 有斐閣アルマ