こんにちは。冨樫純です。
前に本を紹介するブログを書きましたが、その本には、他にもおもしろいと思う箇所があったので、紹介します。
ちなみに、その本とは、『現代政治学』
加茂利男・大西仁・石田徹・伊藤恭彦著
有斐閣アルマです。
福祉国家をめぐる重要な環境変化は、家族の変容である。
福祉国家は、「男は仕事、女は家庭」という性的役割分業にもとづく家族観を前提にしていた。
夫が生計費を稼ぎ、妻が育児と高齢者の介護に
あたるという家父長制的な家族を、である。
社会的·文化的につくられた性の差はジェンダー(gender)と呼ばれるが、福祉国家はそのジェ
ンダー問題と密接にかかわっている。
しかし、福祉国家が前提にする従来の家族のあり方は、近年大きく変わりつつある。
それは、女性、とくに既婚女性の労働市場への進出と共働き夫婦の増加、婚姻率の低下と離婚率の増加、そしてそれらにともなう出生率の低下と少子化の進行などによってである。
そうしたなかにあって、性差別の撤廃をめざすフェミニズム運動が台頭してきた。
フェミニズムは、労働市場における男女の平等化を求めるとともに、従来において家事が女性の無償労働に委ねられていたことを告発している。
そして、女性を被扶養者としてではなく、社会保険や社会福祉給付に対する独立の権利主体として位置づけることを求めている。
また育児や介護に関して、手当支給や休暇制度の確立あるいは施設の拡充によって、それらの労働の社会化を求めているのである。