とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

いわゆる終身雇用制の法的な側面に興味がある方にお薦めの本です。

こんばんは。冨樫純です。

 

本を紹介します。

 

①この本との出会い


先生が薦めていた本なので、読んでみようと思いました。

正直、教科書なので興味がある人は少ないと思います。


②こんな本です。


『新雇用社会の法』

   菅野和夫

   有斐閣

 

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本書は、わが国における労働市場と雇用関係の仕組み(雇用システム)を基本に据え、企業·産業の労使関係のシステム、国の政策形成·紛争解決のシステムをその周辺に据えて、法の内容·機能·課題を描き出そうとするものである。

戦後のわが国雇用社会においては、長期雇用システム(いわゆる終身雇用制)が発達して、これが中心的システムとなってきた。そこで、雇用社会の法も、長期雇用システムと密接な関係をもち、同システムとの間に興味深い相互作用を展開してきた。しかしながら、バブル経済崩壊後の長期的な経済低迷のなかで、雇用失業情勢が悪化すると共に、雇用システムにはグローバル化少子高齢化、情報化などを反映した複雑多様な変化が生じてきた。

法制度においても、かかる雇用社会の変化に対応した制度改革が相次いでいる。

本書は、雇用システムの変容を中心とした雇用社会の構造的変化の様相とそれによって生じる法の課題を描き出すことも、ねらいとしている。(本文より引用)

 


③こんな言葉が響きました。


長期雇用システムは、企業において実際上の仕組み(慣行)として行われてきたものだか、法律的にはどのような仕組みと考えられるのであろうか。

契約の形態として見れば「期間の定めのない労働(雇傭)契約」である。

民法上は、期間の定めのない雇傭契約は、労働者による退職も使用者による解雇も自由である(627条)。民法の債権契約の考えカではむしろ期間のめのある雇傭契約」の方が期間中は退職の制限と雇用保障がある(628条)。

しかし、雇傭に関する民法の解雇自由の規定(627条)は、労働者を長期的に育成活用する長期雇用システムのもとでは、解雇を抑制する実際的仕組みに取って替わられた。

こうして、期間の定めのない雇傭契約の形態において、長期的で安定的な雇用関係が実現されたのである。

雇用を安定させた仕組みの主要な要素は、第1に、労働者の長期定着のための信頼感を醸成する雇用尊重の理念、第2に、労働者の勤続を奨励する管理職·役員の内部育成、年功的賃金·昇進·退職金などのシステム、第3に、労働者の長期的育成·活用·調整を可能ならしめる広範な人事権などであった。(本文より引用)


④この本が気になった方への2冊はこちら


『労働事件審理ノート』第3版

  山口幸雄、三代川三千代、難波孝一(編集)

  判例タイムズ


『人権としてのディーセント・ワーク』

  働きがいのある人間らしい仕事

  西谷敏

  旬報社


興味を持ってくれた方はいるでしょうか?

興味を持った方は、是非読んでみてください。




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