こんにちは。冨樫純です。
本の紹介をします。
①この本との出会い
彼が、さまざまなメディアで取り上げられている、社会学者だと知り、その言動がおもしろいと思いました。
また、少し彼の著作を調べて、最初に話題になった論文を基に書いてある本なので、読んでみようと思いました。
②こんな本です。
『希望難民ご一行様』
ピースボードと「承認の共同体」幻想
本書は、そのピースボートに乗船する若者たちについての本である。
彼らがどのようにピースボートに興味を持ち、船内でどのような活動をし、帰国後どうなった
かまでの過程を追った。
それをただ記述して最近流行の「ルポ」にしても、それなりに面白い内容になったと思う。
しかし、それだけでは勿体ないと思った。それは、ピースポートが日本社会のある部分を濃縮したような空間だと感じたからだ。ピースボートを通して見えてくるもの。それは、今を生きる若者の問題、不安定雇用の問題、組織の問題、旅の問題、自分探しの問題と様々だ。
僕は特に「コミュニティ」と「あきらめ」というキーワードと共にピースボートを考えてみたいと思った。(本文より引用)
古市さんが若者たちの代弁者みたいに言われる所以が、この本にあると感じました。
③こんな言葉が響きました。
なぜ希望難民が増えてしまうのか。1つの理由に、メリトクラシー(業績主義)と呼ばれる仕組みの機能不全が挙げられる。
メリトクラシーとは身分や家柄ではなくて、
「能力」のある人が社会を支配するシステム、要するに学歴社会や受験競争社会のことだと思ってくれていい。
つまり努力して「いい学校」に入れれば「いい会社」に入れる仕組みのことだ。
日本ではある時期まで、多くの人が、「いい大学」に入れば「いい会社」に入れ、「いい人生」が送れるという「物語」を共有していた。このメリトクラシーの社会では、受験に失敗した人たちは少しずつ「いい人生」をあきらめていく。
「俺はこれくらいの大学しか行けないから、これくらいの人生だろう」
「俺は高卒だからこれ以上の出世は無理だろう」と。つまり、受験による選抜が若者たち
に過大な夢をあきらめさせる効果を果たしていたのだ。
しかし、今やメリトクラシーは壊れかかっている。なぜか。まず「いい学校」に入ったからといって「いい会社」に入れる訳ではなくなったから。今時、いくら東大出身でもマークシート型の問題が得意なだけでは話にならない。
企業は学生に「人間力」や「コミュニケーション能力」を要求してくる。
そして、2つめの理由が、「いい会社」に入ったとしてもそれが「いい人生」を保証するものかみんなが疑うようになってきたから。何が「いい人生」かわからない時代。「いい大学」だけは偏差値で辛うじてわかるけれど、それが「いい会社」や「いい人生」に直結しているようにはとても思えない。
大企業で馬車馬のように働く親父は幸せそうか? その妻は幸せそうか? 天下りもできないで税金泥棒呼ばわりされる高級官僚が幸せそうか?
その代わりに、受験競争の外側にはキラキラした「夢」が転がっている。学歴に関係なく成功できる起業家、アイドル、ダンサー、声優、漫画家といった職業は、学歴が必要な「博士」や「官僚」よりもよっぽど魅力的に見えてしまう。(本文より引用)
④まとめ
古市さんの言うように、何が「いい人生」かわからない時代だと、ぼくも思いました。
今も、正直、この人生でいいのか考えることはあります。
⑤この本が気になった方への3冊はこちら
『人口激減』
移民は日本に必要である
毛受敏浩著
『ソーシャル・キャピタル入門』
孤立から絆へ
稲葉陽二著
『ゆるく考える』
東浩紀著
興味を持ってくれた方はいるでしょうか?
興味を持った方は、是非読んでみてください。