とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

若者の親密圏は狭くなったのか

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題 若者の親密圏は狭くなったのか

 


今の若者の親密圏―家族や恋人、親しい友人の範囲は以前に比べて狭くなったのでしょうか。

 


近年、若年層における「親密圏」ないしはネットワークの「狭さ」を指摘する声はあります。

 


たとえば、新谷周平(「ストリートダンスと地元つながり」本田由紀編『若者の労働と生活世界』大月書店)は、大都市近郊でストリートダンスをする若者の交友関係から、彼らの「地元つながり」―中学・高校の同級生など狭い範囲に限定された交友―が、その学歴達成や職業達成とくに正規就業―を阻害し、結果的に彼らをフリーターに導いているといいます。

 


この「地元つながり文化」の特徴は、予定を立てずその日暮らしをするといった時間感覚、その場で金をもっている者が支払うなどの金銭感覚を共有することにあり、そこにいることが情緒的安定をもたらすという表出的機能をもっています。

 


それゆえ、それは家族や学校といった従来の社会化機関からの離脱を可能にします。

 


そして、この表出的機能が道具的機能―就職や進学といった進路選択の実現―よりも優先されるために、彼らは無業やフリーターへと導なっていく、というのです。

 


このように交友関係の狭さが若者―2000年代前半のいわゆる団塊ジュニア世代にもたらした危うさは、図式的ではありますが、速水由紀子(『「つながり」という危ない快楽』筑摩書房)の整理をもとにすると、次のように位置づけることができます。

 


すなわち、コミュニケーションの活発さと階層で

わけると、現在の若年層は①グローバル・コミュニティ(留学してMBAを取得し、国内で起業するなど)、②ローカル・コミュニティ(SNSやサッカーチームのサポートなど「地元 = ホーム」を志向する)、③オタク・コミュニティ(アニメやマンガ、ゲームに熱中する)、④脱コミュニティ(いわゆる「ひきこもり」)、⑤非コミュニティ(外国人労働者やホームレスなど)に属することになります。

 


このうち、新谷が注目した「地元つながり」は、「ローカル・コミュニティ」に属することになります。

 


また、新谷が扱ったストリートダンサーでは明示されていませんでしたが、このローカル・コミュニティに属する若者たちのなかには、インターネット経由でコミュニティ型のサイトであるSNSを利用する者も含まれています。

 


SNSは知人の紹介で加入するため、速水によれば「気心の知れたサークルの仲間的ネットワークが多く、荒らしや誹謗中傷といった「不快」も避けられ」るが、その「心地よさ」はかなり「クローズド」である、といいます。

 


それゆえ、ローカル・コミュニティに属する若者たちは、快適なシステムに住みつくことを好んでいますが、SNSのサイトを運営しているグローバル・コミュニティに属する若者たちのように「自分たちがシステムを構築し、あるいは改革することには殆ど関心がない」とされます。

 


感想

 


若者を一括りにしにくくなったという感じがします。

 


下記の本を参考にしました

 


『ライフイベントの社会学

   片瀬 一男著

 世界思想社