とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

大学受験で敗者復活があるか

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題 誰がトーナメント移動で勝ち残るか

 

 

 

トーナメント移動とは、ある段階で「負けてしまうと次の競争には進めず、ある段階で「勝った」者だけが次の選抜に進める移動です。

 

 

 

日本におけるトーナメント移動では、誰が勝ち残るのでしょうか。

 


中西祐子(「学校ランクと社会移動」近藤博之編「日本の階層システム3 戦後日本の教育社会」東京大学出版会)は、このことを明らかにするために、まず出身高校を大学進学率によって、普通科A、普通科B、普通科C、職業科に区分し、次いで大学を入試難易度によって、A大学、B大学、C大学、短大・高専に区分します。

 


そして、両者のクロス集計をとると、まずトーナメント移動の構造が浮かび上がってきました。

 


1つ目に、高校ランクと大学ランクの間には関連がみられ、より高いランクの高校に入った方が高いランクの大学に入学できる、ということです。

 


つまり、高校入試という1回戦の結果で勝った者ほど、大学入試という2回戦でも勝つ確率が高くなるのです。

 


2つめに、その一方で、敗者復活の可能性の存在も示唆されました。

 


すなわち、高校入試の結果が大学入試の結果を決定づけているわけではなく、普通科Aの出身者でもA大学に進学できるのは2割程度で、普通科B、C、職業科からA大学に進学できる者もいるの

です。

 


そこで、A大学進学者のうちでみると、3割近くが敗者復活組となります。

 


では、こうしたトーナメント移動で有利なのは誰なのでしょうか。

 


中西によると、それぞれの高校大学ランク別に出身背景すなわち父親の専門・管理職率や教育年数などを調べてみると、高校でも大学でもランクが高い者ほど、父親の職業的地位も高く、学歴も高いのです。

 


すなわち、メリトクラシーのもとで本人の能力・努力によってトーナメント移動が行われているにもかかわらず、本人からみれば「属性」である父親の地位が高い者ほど、トーナメント移動で勝ち残っているのです。

 


さらに、誰が「敗者復活」するのでしょうか。

 


中西は、高校ランクと大学ランクの組み合わせから5つの移動パターンを析出しています。

 


1位キープ組(普通科A→A大学)、2位キープ組(普通科B→B大学)、3位キープ組(普通科C→C大学)、4位御破算上昇組(普通科B、C、職業科→A大学)、5位順位下降組(普通科A→B、C大学、短大・高専)です。

 


この移動パターンと出身背景との関連をみると、1位キープ組についで御破算上昇組は父親の職業的地位も高く、学歴も高いのです。

 


感想

 


日本の大学受験では、「敗者復活」があり得ると思いました。

 


下記の本を参考にしました

 


『ライフイベントの社会学

   片瀬 一男著

 世界思想社