こんにちは。冨樫純です。
倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
公衆衛生と功利主義
2012年は英国の文豪チャールズ・ディケンズの生誕200周年だ。
彼の『オリバー・ツイスト』や『クリスマス・キャロル」などの小説の舞台になっているのは、まさに近代の公衆衛生が生まれようとしていた19世紀前半の英国社会である。
この時期、英国では産業革命の影響によって大量の労働者が都市に流入し、その住環境や工場の衛生状態が社会問題になっていた。
19世紀以降、ロンドンやマンチェスターやリバプールといった都市に貧民街が形成されるようになり、労働者は想像を絶するほど劣悪な環境下で生活していたのだ。
たとえば、ロンドンで主にアイルランド人が住んでいた St. Gilesのチャーチ・レーンという通りの統計を見てみよう。
この通りでは、1841年には27の家屋 (平均5室)
に655人が住んでいた。単純計算すると一家屋に約24人、一部屋に約五人が住んでいたことになる。アイルランドで1845年から1846年に起きたいわゆるジャガイモ飢饉の後にはさらに人口が増え、1847年には同じところに1095人、すなわち一家屋40人以上、1部屋に約8人が住んでいたことになる。
このような貧民街では下水道の整備も遅れていたため、 ごみや汚物は桶で外の広場に捨てられ、山積みになって悪臭を放っていた。
都市人口の増大と不潔な衛生環境が原因となり、19世紀にはコレラが流行し、結核やチフスも猛威をふるった。
それだけではなく、労働者の「道徳的退廃」も問題になった。
工場や炭鉱で働く労働者たちは劣悪な環境下での仕事に耐えるために、朝からジンやビールを飲み、興奮剤として嗅ぎたばこを使用していた。
また、「リバプールのある地下室では、母親とその成人した娘たちが、地下室の一隅で床の上のもみがらのベッドで眠り、他の隅には三人の水夫がそのベッドを占めている」というように、「労働階級の住居においては、兄弟、姉妹、および男女の同居人が、両親と同じ寝室を占めており、人道的に、見るだけで身震いする結果」が起きていたという。
感想
産業革命の負の側面を垣間見ました。
日本の公害問題より悲惨な気がします。
下記の本を參考にしました
『功利主義入門』
児玉聡