とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

功利主義の背景

こんにちは。冨樫純です。

 


倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル  

 


歴史的背景

 


功利主義が最初に提唱されたのは、産業革命が進行中で社会が大きく変わりつつあ英国であった。

 


それは、新しい時代にふさわしい社会改革を行なうべく提示されたものだった。

 


ベンサムは当時の社会状況を、既得権を守ろうとする上流階級がそれ以外の人々(中産階級や労働者)を不当に虐げているものと考え、「最大多数の最大幸福」のために議会や選挙制度の改正など多くの改革案を提言した。

 


彼自身は政治家ではなかった。だが、「哲学的急進派」と呼ばれる彼の弟子筋の政治家たちが19世紀初頭に活躍して、選挙法の改正を始め多くの法律が成立するのに一役買った。

 


「最大多数の最大幸福」をスローガンとする功利主義が、より多くの人々が幸福に暮らす社会を作るための改革の思想であったことを忘れないでほしい。

 


今日においては、「最大多数の最大幸福」というスローガンは、ややもすると「少数派の犠牲の上に多数派が幸福になるための思想」と理解されがちだが、元々の精神はそれとは正反対のものである。

 


むしろ功利主義は、政策決定において、それまでほとんど無視されていた労働者、奴隷、女性など、多くの人々の幸福も等しく考慮に入れるべきだと主張する立場だった。

 


その意味では、功利主義は包摂的な立場である。

 


この精神を見失ってはならない。 功利主義はわれ

われが見て見ぬ振りをしがちな社会的弱者の幸福にも配慮することをわれわれに要求するのだ。

 


ベンサムにとっては、「倫理」は個人の道徳と、政治や立法の両方を意味していた。そして、ベンサムの主著『道徳および立法の諸原理序説』という書名に示されているように、功利主義はそのどちらについても使えるものだった。

 


感想

 


「最大多数の最大幸福」というスローガンは、ややもすると「少数派の犠牲の上に多数派が幸福になるための思想」と理解されがちだが、元々の精神はそれとは正反対のものである、という箇所がおもしろいと思いました。

 


多数派のための思想ではなかったことを学びました。

 


下記の本を參考にしました

 


功利主義入門』

 児玉聡

 ちくま新書

 

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