こんにちは。冨樫純です。
倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
功利主義の三つの特徴
さて、ここまでベンタムの著書を用いて功利主義について説明してきたが、 もう一度 、功利主義の特徴を説明しておこう。
より形式的にその特徴を列挙す ると次のようになる。
(1) 帰結主義
行為の正しさを評価するには、行為の帰結を評価することが重要である。
「帰結」とは結果のことだが、「結果主義」と書かないのは、功利主義はいわゆる「結果論」ではないからだ。
「何にせよ結果がよかったのだから、その行為は正しかったのだ」と行為を事後的に評価するのが結果論だ。
それに対して帰結主義は通常、「こう行為する
と、こういうことが結果として起きるだろう」という事前の予測に基づいて、行為の正しさを評価するものである。
帰結主義は一見当たり前のことを言っているようだが、実はそうではない。行為の正しさは必ずしも帰結のみによっては決まらないという立場を、非帰結主義と呼ぶが、この立場に入る考え方はいくつもある。
たとえば、ベンサムが「共感と反感の原理」について述べたように、倫理に関して「自分が好きかどうか」や「自然と感じるかどうか」で判断することもしばしばある。
また、行為が正しいかどうかは動機の良し悪しで決まると考えている人も多いかもしれない。
さらに、帰結がどうあれ各人の権利を守ることが重要という考え方もある。
これらの立場は、行為の正しさを評価するさいには帰結とは独立の考慮が必要だと考えている点で、帰結主義とは区別されるものである。
(2) 幸福主義
行為の帰結といってもいろいろありうるが、行為が人々の幸福に与える影響こそが倫理的に重要な帰結であると考える立場が、 幸福主義だ。
ベンサムはいわゆる快楽説を取っているが、これは幸福主義の一種だ。快楽説によれば、快が善いものであり、苦は悪いものである。
したがって、快楽を増やし、苦痛を減らすような行為が正しいことになる。あとの章で見るように、他にも、幸福とは欲求が満たされることだとする説や、教育や健康などの客観的な利益を保障することだといった説もある。
こうした幸福主義は厚生主義とか福利主義と呼ばれることもある。
幸福主義も一見当たり前のことを言っているようだが、必ずしもそうとは言えない。たとえばわれわれは自由や真理にも価値があると考えているだろう。
幸福主義は、それらに一定の価値は認めるものの、自由や真理に価値があるのは、それらが人々の幸福を増進するからに他ならないと考える。
何かの役に立つという理由からではなく、それ自体に価値があることを「内在的価値」と呼ぶが、幸福主義によれば、この世界で内在的価値を持つ
のは幸福だけであり、それ以外のものは幸福になるための手段として道具的価値を持つに過ぎない。
この立場を取らず、自由や真理は人々の幸福とは独立に価値を持つと主張するならば、それは非幸福主義である。
(3)総和最大化
功利主義では、一個人の幸福を最大化することを考えるのではなく、人々の幸福を総和、つまり足し算して、それが最大になるように努める必要がある。
その際、 「各人を一人として数え、誰もそれ以上には数えない」 ことが大切だ。
つまり、一人一人が等しい配慮を受けなければならない。
総和最大化という特徴から明らかなように、功利主義は自分の利益を最大化するという利己主義ではない。
また、一人を一人として数えるという公平性の配慮が働いているため、社会の一部の人の幸福を二倍に考えたり、他の一部の人の幸福を二分の一で数えたりすることもない。
功利主義は一見して実用性が高く魅力的な思想のように思われる。
しかし、功利主義に対しては、早くからJ美に対して友人たちが行なったような手厳しい批判が加えられてきた。
その批判とは簡単に言えば、功利主義は大勢の人を幸福にするという錦の御旗を振りかざすことで、「無実の人を殺さない」とか「約束を破らない」とか「家族を大事にする」といった人間の基本的な義務をないがしろにしているというも
のだ。
感想
功利主義の三つの特徴はどれも理想的な考え方に見えました。
でも、批判も説得力があると思いました。
下記の本を參考にしました
『功利主義入門』
児玉聡