こんにちは。冨樫純です。
独学で、倫理学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
倫理学者たちの見解
倫理とは何のことなのでしょうか。
これまで、倫理学の研究者たちは様々な答えを提案してきました。たとえば18世紀のドイツの哲学者イマニュエル・カントは自らの理性がもたらす無条件の判断に自律的に従うことに道徳性を見出しました。
あるいは功利主義で知られるイギリスのジェレミー・ベンサムやジョン・スチュアート・ミルは私たちが幸福になるために役立つ技法の一つとして倫理というものを理解していました。
特にミルは、私たちが幸福になるために取り入れるべきもののうちで、それに従わないことに処罰を与えてもいいと思われるようなものが、倫理であると主張しました。
こうした過去の偉大な哲学者の残した古典のうちに倫理を探る試みはこれまでも多くなされているので、もう少し新しい時代に目を移し、20世紀半ばに英国オックスフォード大学の研究者たちの間で交わされた議論に注目してみたいと思います。
この時代は、第二次世界大戦の戦中戦後の混乱を経て、新たな時代を導く倫理学の構想が求められる時代でした。
そんな中で、研究者たちは、これまでの倫理学史の議論を踏まえつつ、あらためて、倫理とは何なのかについての徹底的な探究を行い、結果として、そこからは様々な示唆に富む研究成果が示されました。
実際、現代の倫理学の枠組みはそこでの議論を直接の土台にしてできあがっているところが少なくありません。
したがって、それらを押さえておくことで、現代の倫理が指しているものの中身を十分に考えることができるようになるというわけです。
予め結論を述べておくと、倫理とは何なのかを巡って、以下では次のような四つの見解が提示されます。
重要性基準
私たちの生にとって重要で深刻なものを示すものが倫理・道徳。重要なものを保護し維持することが倫理的に優れたことであり、その逆が倫理的に劣ったことである。
理想像基準
私たちにとっての理想像を示すものが倫理・道徳。理想に近づくことが倫理的に優れたことであり、その逆が倫理的に劣ったことである。
行為基準
意図に基づいた振る舞いを示すものが倫理・道徳。 良い意図に基づく行為が倫理的に優れたことであり、その逆が倫理的に劣ったことである。
見方基準
倫理道徳とは世界の見方そのもの。世界の良い見方が優れた倫理であり、その逆が劣った倫理である。
現代倫理学では、これらのうちのどれかで倫理のことを捉えていることが多いように思います。
どれが自分の考えに近いか、どれが説得力をもつか、皆さんも考えながら読んでもらえればと思います。
感想
個人的には重要性基準が一番説得力があると思います。
下記の本を参考にしました
『「倫理の問題」とはなにか』
メタ倫理学から考える
佐藤岳詩著