とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

出生前の診断と中絶

こんにちは。冨樫純です。


本を紹介します。


①この本を選んだ理由


倫理学の入門書を探していて、新書で手頃な値段だったので購入しました。


②こんな本です


『善と悪』倫理学への招待

   大庭 健著

   岩波新書

 

f:id:genzi1013:20210208194429j:image


道徳的にみて「善い」「悪い」という判断には、客観的な根拠はあるのか。


「赤い」「青い」などの知覚的判断や、「酸性」「アルカリ性」などの科学的判断とはどう違うのか。


その基準となる「道徳原理」は、どのようにありうるか。


ソクラテス以来の大問題を、最新の分析哲学の手法を用いて根底から論じ、倫理学の基本を解き明かす。


③こんな言葉が印象に残りました


出生前の診断によって、先天的障害のある ことが判明した場合、それを理由とする人工中絶は、悪いことなのか?


この問題は、出生前診断をはじめとして諸種の生殖技術が飛躍的に進展した現代 にあって、かなり厄介な問題の一つである。


中絶を正当化する論拠は大きく言って二つあろう。


第一に、人工中絶をするならば、自分に原因があるのではないという意味で、中絶した女性の「いわれなき苦悩」が生じるだろうし、その家族にも、それなりの悲哀が生じる。


しかし、そうした胎児が生まれるに任せたときは、その後、生まれた子どもの苦悩生んだ親の苦商や、親をはじめとする養育者の苦悩などなど、避けえたのに避けなかったがゆえに、という意味で、「いわれなき苦悩」が増大する。


第二に、妊婦が望むなら中絶するという選択肢は、“生む·生まないば女の自由と主張されてきた。


女性の自由権ないし自己決定権を尊重することであり、そのことは、女性の自由権が否認されていたがゆえの、幾多のいわれなき苦悩を減少させる。

(本文より引用)

 

④この本が気になった方への2冊はこちら


倫理学の話』

    品川 哲彦著

 ナカニシア出版


『悪について』

   中島 義道著

 岩波新書


興味を持ってくれた方はいるでしょうか?

興味を持った方は、是非読んでみてください。