こんにちは。冨樫純です。
独学で、憲法を学んでいます
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
クーラーがないと「健康で文化的な最低限度の生
活」とはいえないのか
このような問いを発した場合、一方では、次のような肯定的な答えが返ってくるでしょう。
今から20年、30年前ならいざ知らず、現在では、多くの家庭や職場にクーラーが入っており、夏場のクーラーは冬場の暖房器具と同様、日常生活の必需品となっている。
「健康で文化的な最低限度の生活」といえるためには、1室ごとにクーラー1台とまではいえないが、1家庭にクーラー 1台ぐらいは必要である。
しかし、他方では、次のような否定的な考え方もありえます。
少なくなったとはいえ、現在でも、クーラーのない家庭や職場は、まだ存在している。
クーラーがなくても、扇風機、冷蔵庫などがあ
れば、十分夏場の暑さをしのげる。
憲法25条は、「健康で文化的な生活」といっても、その 「最低」を保障しているのであって、よ快適な生活まで保障しているわけではない。
そうすると、裁判所が 「クーラーがなければ健康で文化的な最低限度の生活とはいえない」と断定するのは、なかなか難しそうです。
ところが、この事件は、 現在もらっている生活保
護の支給額にさらにクーラー設置の費用を上乗せするよう要求した事件ではありません。
自分でクーラーを設置して使っていた人が、生活保護の申請をして受給をはじめたところ、クーラーをとりはずさなければ生活保護を打ち切るといわれたために、やむなくクーラーをとりはずしたという事件です。
しかも、その人は高齢で病院に通院しており、家の屋根はトタン板で日中の室温は40度にもなる
という事情がありました。
こういった事情がある場合には、裁判所が憲法25条違反、もしくは、生活保護法違反と判示してもよいのではないでしょうか。
なお、この事件後、埼玉県は、いままでの方針をかえて、設置してから年数がたっているクーラーの保有を認めたうえ、新しいクーラーでも、①世帯に高齢者、障害者、病弱者がいて、健康管理の面から必要と認められる場合、② 住宅環境からみて必要と認められる場合には、当該地域の一般世帯との均衡を失しないものは保有を認める、という新方針を定めました。
感想
おもしろい事件だと思いました。
クーラーと同じように車も議論になる気がしました。
下記の本を参考にしました
『いちばんやさしい 憲法入門』
初宿 正典 他2名
有斐閣アルマ