とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

福祉国家の成立

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 福祉国家の成立

 


福祉国家の起源については諸説がある。

 


一番早い時期に福祉国家の成立を求める学説は,、19世紀のイギリスに今日的な福祉国家の端緒を見る。

 


この時期、中央集権的な国家権力が成立し、各種の国家介入が拡大したからである。

 


また、第1次世界大戦と第2次世界大戦との戦間期福祉国家が成立したと考える学説も有力である。

 


この時期、ヨーロッパでは各国政府の公共支出が著しく増大したからである。

 


さらに第2次世界大戦後のヨーロッパで福祉国家が成立したとする学説の影響力も大きい。

 


この時期、各国で社会保障に関する改革が相次いだからである。 イギリスでは 『ベヴァリッジ報告』(1942年)に由来する社会保障の改革がおこなわれた。

 


フランスでは, P. ラロックのプランにもとづく社会保障制度が整備された。

 


ドイツでも、戦後に制定された憲法 (ボン基本法) のなかに、 「社会国家」 (=福祉国家) に関する規定が書き込まれた。

 


いずれの学説を採用するにしても、ヨーロッパ諸国では、遅くとも20世紀半ばまでに、今日の福祉国家の原型が成立したことになる。

 


成立当初の福祉国家は、必ずしも経済成長を前提にしたものではなかった。むしろ経済成長が見込めない停滞のなかで、戦争によって被った国民の疲弊や困窮をいかに回復させるか、といったことのほうが福祉国家にとっては緊急の課題であった。

 


しかし、その後、アメリカによる経済援助 (マーシャルプランもあって、ヨーロッパ諸国の経済は復興し、1950年代以降、高成長の時代を迎えることになった。

 


このような環境のなかで福祉国家は経済成長と密接不可分な仕組みへと変貌を遂げた。

 


20世紀の第3四半期には、政府が有効需要を創出して経済成長を促進し、これによって労働力需要を喚起して完全雇用を達成するといった、ケインジアン (ケインズ主義)の考え方が、政府の経済政策の策定に対して大きな影響力を及ぼした。

 


このため福祉国家の社会政策も、有効需要を創出するための手段として利用された。

 


また経済成長の結果として達成された完全雇用は、人びとの生活の安定に大きく寄与した。それだけでなく、完全雇用は、税や社会保険料の増収によって、社会政策の財源を確保するのに役立った。

 


経済の高成長のなかで、20世紀の第3四半期のヨーロッパ諸国では、国民経済に占める社会支出(国民生活の安定や向上を直接の目的とする公共支出)の割合が著しく増加した。

 


1950年から73年までの時期は、経済の高成長が持続したという意味で、しばしば「戦後の黄金時代」(A. マジソン)と呼ばれるが、この時期は、社会支出が高成長を遂げたという意味で, 「福祉国家の黄金時代」(P. フローラ)でもあった。

 


感想 

 


成立当初の福祉国家は、必ずしも経済成長を前提にしたものではなかった。むしろ経済成長が見込めない停滞のなかで、戦争によって被った国民の疲弊や困窮をいかに回復させるか、といったことのほうが福祉国家にとっては緊急の課題であった、という箇所が印象的でした。

 


現代も成立当初の考え方を見直すべきかもしれないと思いました。

 


下記の本を参考にしました

 


『Do! ソシオロジー』改訂版       

 現代日本社会学で診る

 友枝 敏雄 他1名

 有斐閣アルマ

 

flier(フライヤー)