こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。
感想も書きたいと思います。
話題 エンパワメントとセカンド・オピニオン
医療過程での説明が十分に果たされているという場合もあるであろうが、やはり情報量や経験の多寡、生死にかかわる切実な場面で比重を理解した適切な判断が可能かどうかなど、医師に比べ、患者や家族の側が自らのことであっても的確な判断ができる立場にあるともいいきれない。
したがって、インフォームド・コンセントを内実あるものにするためにも、患者や家族自身が自らの状況や治療・処置がもたらす効果・効能についての理解や、専門職とのコミュニケーション能力をつける必要があるということで、「エンパワー
メント(empowerment)」の議論が浮上してきている。
病気や治療にかかわる情報を学習し、自ら判断できる力を身につけていくということになる。
当該事象に対する理解と判断の力量をつけた当事者と専門職とのあいだでの対話が求められるということになろう。
パターナリズムが背後に権力性を有するものだとすると、インフォームド・コンセントとエンパワメントは対等性を志向するものだといえよう。
患者が最終的に治療方法に納得したり、希望する治療法を選択するためには、エンパワメントによって獲得された十分な理解とともに、他の医師の意見を聞くことも重要な意味がある。
従来、患者が他の医師の意見を求めることは「はしご受診」として非難される傾向があり、医師-患者関係の信頼をそこなうものであった。
しかし、医療の高度化にともなって、医師は治療方法の組合せや副作用の程度など複雑な要因を考慮しなければならず、また、効果の予測を単独で自信をもって最善の方法と断言することは難しくなってきている。
それならば、むしろ、患者自身、主治医以外の医
師から病状・治療方法について他の意見、すなわち、「セカンド・オピニオン(second opinion)」を求め、主治医や医療機関も検査データの情報提供など協力体制をしくことの意味も増加している。
それによって、インフォームド・コンセントを受け入れる自己決定の判断、さらにはインフォームド・チョイス(説明されたうえでの選択)の可能性が高まっていく。
自己決定というと、狭い部屋に一人で閉じこもってあらゆる情報を遮断して自ら判断するかのような閉じられた方向に向かう誤解があるが、むしろ、あらゆる情報を集め、関係者に相談し、場合によっては練習も行なって、そのうえで、自らの判断を相互行為のなかで固めていくことにこそ、その意義があろう。
エンパワメントという個々人の力量アップとともに、セカンド・オピニオンという形で情報が多重化されつつ相対化されて提示されることで、自己決定という判断もより有効なものとなっていこう。
それは、従来、自ら自己決定ができなかった人や状況に対して、その判断が可能なように周囲のものが環境作りを行なっていくことにこそ、自己決定の主眼があるということともつながっていく。
感想
ぼくももし難病にかかったら、セカンドオピニオンを含め、可能な限り情報を集めたいと思いました。
下記の本を参考にしました
『コミュニケーションの社会学』
長谷 正人 他1名
有斐閣アルマ