こんにちは。冨樫純です。
「裁判所職員と天下り」についてのコラムを紹介します。
天下りは官僚の特権のイメージだったのですが、裁判官にもある事実に驚きました。
裁判所の職員も公務員である以上、天下りが問題となる。
ただ、裁判所は他の中央省庁と異なり、監督業界をもたないので、天下り先も限られてくる。
裁判官は、法曹有資格者として、定年後弁護士になれるので、その道を選ぶ者も多いが、自由業(接客業)に慣れておらず、老齢のため依頼者の獲得に苦労するようである。
そこで、より安定した途として、高額の収入が保障される公証人は人気があり、ポストが空けば定年前に転身する裁判官も多い。
そのほか、大都市の簡易裁判所判事も人気ポストだし、最近は法科大学院の教授に「華麗なる転身」を遂げる者も多い。
他方、書記官は法曹資格をもたないので、再就職はより厳しい。
それでも、簡易裁判所判事の相当部分(特に地方)は退職書記官がカバーするし、また執行官になれば相当の高収入が約束される。
老後はゆっくり過ごしたいと考える向きには、調停委員や司法委員になってパートタイムで小遣いを稼ぐ道も開かれている。
ただ、これら周辺的法律家の重要性が高まるなか、その天下りポストとしての利用には批判も生じており、「反天下り」の趨勢は司法界にも及びつつある。
下記の本を参考にしました
『現代の裁判』第6版
市川 正人 他2名
有斐閣アルマ