こんにちは。冨樫純です。
「音楽は情動を喚起する」についてのコラムを紹介します。
誰もが経験的に知っていそうなことを確かめるという意味で、このような実験は必要だと思いました。
音楽を聴くと楽しくなったり、憂うつな気分になったりする。
それを心理学の実験で確かめ、どうしてそうなるかといった心理的機構を解明することと、それを心理臨床に応用するという試みが進んできた。
たとえば、谷口の実験では(谷口,2002)、抑うつもしくは高揚気分を誘導するような曲を聴かせて、性格形容語の社会的望ましさの評定をしてもらった。
その後、これらの単語を再生させたところ、抑うつ的な気分の音楽を聴いたグループの方が社会的に望ましくない形容語の再生がよかった。
もう1つの実験では、音楽を聴かないときと聴きながらの2回について、意味の曖味な性格形容語に対する個人的な好ましさを評定した。
この結果、音楽を聴かないときと比べて、抑うつ的な音楽を聴いたグループでは、否定的な判断が増加し、高揚的な音楽を聴いたグループでは肯定的な判断が増加する傾向があった。
このように、聴く音楽の情動的な性質によって、音楽聴取以外の課題のパフォーマンスが異なるのである。
音楽療法の可能性が示唆されるといってよいだ
ろう。
下記の本を参考にしました
『心理学』新版
無藤 隆 他2名