こんにちは。冨樫純です。
「 2つの情報処理過程」についてのコラムを紹介します。
社会心理学にとって重要だそうですが、その重要さがよくわからないと感じました。
人の思考や情報処理に関する社会心理学の研究では大きく分けて2種類の情報処理過程があることが仮定されている場合が多い。
1つは、相対的に迅速簡便で、表層的でトップダウン的な処理であり、ヒューリスティック、カテゴリー化、ステレオタイプなど単純な手がかりに頼った処理である。
もう1つは、相対的に入念で、労力を要するボトムアップ的な処理で、情報を実質的に吟味する情報処理である。
1990年代には、これら2つの過程を前提とした多数のモデルや理論が提出された。
モデルや理論によってこれらの処理に対してつけ
られる名称は複数あり、細かい点については、違いが想定されている場合もあるが、一般的に、前者を自動的過程またはヒューリスティック処理と呼び、後者を統制的過程あるいは熟慮的過程またはシステマティック処理とよぶことが多い。
ヒューリスティック処理、システマティック処理は情報の吟味、判断の過程までを指していることが多いが、自動的過程、統制的過程といった場合は、その後の判断結果の表出の過程まで含まれる。
情報を入念に吟味するための動機、時間、能力がある場合は、システマティック処理が行われるが、それらが不足している場合はヒューリスティック処理が行われることになる。
人の情報処理の能力には限界があるので、あることに注意を向けたり、あることを覚えようとしているときは、他の情報を処理する能力は著しく低下する。
このように情報処理に割り当てることのできる有限な資源を認知資源と呼ぶ。
認知資源が十分にないとシステマティック処理や統制的過程は機能しない。
現代の社会心理学においては、この2種類の処理過程を前提としたモデルや理論が多く存在し、それらを総称して二重過程モデルとよぶ。
連続体モデルや、精緻化見込みモデルは、代表的なモデルである。
また、この2つの処理過程を区別する考え方は、特定の現象を説明するためのモデルや理論を離れ、人の思考や判断の過程を説明するうえで重要な前提となっている。
下記の本を参考にしました
『社会心理学』
池田 謙一 他2名