こんにちは。冨樫純です。
「学習性無力感」についてのコラムを紹介します。
おもしろい心理実験だと思いました。
また、学習されるものは望ましいことぱかりではないという事実もおもしろかったです。
「ハンモックにくるまれ、どうあがいても逃れることのできない電気ショックを受けたイヌは、回避訓練が始まっても、電気ショックを回避する方法をけっして学ぼうとはしなかった。
部屋が暗くなるのを合図に、隣の部屋に移れば
ショックを回避することができるのに、ただうずくまって、ショックが終わるのを待つばかりであった。
すっかり観念したかのように、じっとショックに耐えるのであった.…」。
これはセリグマンとマイヤー (Seligman & Maier, 1967)の実験で観察された、学習性無力感(learned helplessness)と呼ばれる現象で
ある。
セリグマンは、イヌがこのような状態に陥るのは、回避することのできない電気ショックを経験することにより、イヌは自分にはショックを止めることができない(つまり無力である)ことを学習したのだと考えた。
なぜなら、最初に逃避可能な条件でショックを経験したイヌは、2、3回の回避訓練で、すぐにショックを回避する方法を学習したからである。
また、ヒロトとセリグマン(Hiroto&Seligman 1975)は、人間の場合にもこれと同様の現象が見られることを報告している。
大学生にもともと解決不可能な問題を解かせた後に、解決可能な問題を与えて解かせても、無力感に陥り、成績が低下してしまったのである。
これらの研究は、「学習」について、私たちに次の2つのことを教えてくれる。
第1に、無力感や無気力はけっして生得的なものではなく、学習によって獲得されることがある、ということである。
つまり、親や教師は、子どもたちが学習性無力感に陥らないような教育的配慮をする責任があることを示しているのである。
第2に、無力感や無気力のような、あまり望ましくない行動や態度も学習されるということである。
「学習」というと、普通は望ましいものだけを考えがちであるが、人間はときとして喫煙のような健康を害する習慣や、盗癖のような法に触れる行動さえ学習してしまうのである。
下記の本を参考にしました
『心理学』新版
無藤 隆 他2名