こんにちは。冨樫純です。
「司法審査」についてのコラムを紹介します。
議会を統制する必要性から導入されたという背景が説得力があると思いました。
憲法81条は、最高裁判所にすべての法律命令規則または処分が適合するかしないかを決定する権限を付与している。
これを司法審査権という(違憲立法審査権とか、法令違憲審査権とか、憲法裁判権とかいう言葉を使う人もいる)。
このような制度をはじめに樹立したのはアメリカである。
合衆国憲法にこのような制度を明記した規定は存在しなかったが、合衆国最高裁判所は、1803年のマーベリー対マディソン事件において、最高裁判所に法律が憲法に適合するかどうかを判断する権限があることを宣言した。
このことは非常に重要な意味をもっていた。
というのは、それまで権力をめぐる争いは国王の権力に制限をおくことを主眼としていて、国民の代表である議会の権力に制限をおこうという考え方は支配的ではなかった。
ところが、この司法審査制度の樹立により、憲法は議会をも拘束する法であることが明らかにされ、憲法は裁判所によって執行される 「裁判規範」となったのである。
ただ、アメリカではこのような司法審査制度がすでに200年前に樹立されたが、大陸諸国では同じような制度は導入されなかった。
ところが第二次世界大戦後、ドイツでナチスが議会を通し全権を掌握し、国民の拍手と喝采による支持で独裁を正当化させた経験に照らし、議会をも裁判所で統制する必要性があるという考え方が有力になってきた。
そこでドイツは、戦後制定された基本法のなかで連邦憲法裁判所という組織をつくり、そこに議会を統制する権限を与えた。
そして現在では、このように裁判所によって議会を統制しようとする考え方をとる国が、多くなっている。
下記の本を参考にしました。
『はじめての法律学』HとJの物語
松井 茂記 他2名
有斐閣アルマ