こんにちは。冨樫純です。
「世論の変動」についてのコラムを紹介します。
小泉政権当時、確かにマスコミの煽動ぶりが凄まじかったのを思い出します。
アメリカのG.W.ブッシュ大統領の父親は、1988年に大統領に就任している。
彼はイラクとの湾岸戦争でアメリカが大勝利を収めた91年3月には94%という歴史的な支持率を記録した。
だが、その後の不況が長引いたために、翌年の92年3月には支持率を29%へ落としてしまい、同年11月の大統領選挙では再選を勝ち取れなかった。
世論は短期間で大きく変動する。
日本でも、小泉純一郎首相が誕生した2001 (平成 13) 年4月直後には、内閣支持率は80%を超え、歴代内閣の最高の支持率を記録した。
当時、テレビのワイドショーも週刊誌も、小泉首相がオペラに行ったりサッカーボールを蹴ったりするたびにとりあげ、いかに新しいタイプの政治家であるかを報道した。
ところが、2002年1月に田中真紀子外務大臣を更迭すると、テレビや週刊誌は小泉バッシングを開始した。
それをきっかけに急激に内閣支持率は下がり始め、同年3月には45%程度にまで下がってしまった。
だが、同年9月に小泉首相が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問すると、支持率は約60%にまで戻った。
その後も経済政策が行き詰まっていると報道されれば支持率は下がり、保守派との対決姿勢を鮮明にすると支持率は上昇するなどした。
このように世論は、日米を問わず短期的に大きく変動している。
その原因として、マスメディアの影響が大きく、世論がそれに反応して短期間に変動するという見方が有力だ。
小泉内閣の場合でも、内閣支持率の急上昇と急降下はテレビのワイドショーの影響のせいだとして、小泉内閣はワイドショー内閣だという見方をする評論家が多かった。
だとすれば、国民の大半がメディアの報道に踊らされて、自分自身では判断していないという結論になる。
しかし、これまで、デモクラシーを支える一般国民は合理性を備えていると考えるのが妥当である、という議論を中心に進めてきた。
一般国民を含めて多くの政治的アクターは合理的な判断をしている、と思われる根拠がいくつもある。
メディアに踊らされる判断能力のない国民という見方は、あまり現実的でないようにも思われる。
マスメディアと世論すなわち国民の政治的判断力とは、どのような関係にあるのだろうか。
下記の本を参考にしました
『政治学』補訂版
(NewLiberalArtsSelection)
久米 郁男 他2名
有斐閣