こんにちは。冨樫純です。
下記の質問に対して、答える形式でのコラムを紹介します。
子どもが学校でいじめられているようです。
先生の対応も真剣さが足りません。
親として、子どもにどのようにアドバイスすればいいでしょうか?
ぼくは、いじめを犯罪にすればいいと思っていました。
このコラムを読んで極端すぎたかなと思いました。
答え
学校でのいじめの問題は、私の周りでも現実にいろいろあって、私自身が関わっている問題でもあります。
子どもがいじめに遭っているときに、親がどうしたらいいかということですよね。
その状況に対して、親はどのように考えるべきか? というと、「この世の中には、どこまでいってもいじめはある」ということです。
まずは、このように考えなければいけない。
子どもがこれからの人生を生きていく上で、やはりいじめに遭う可能性がある。
だとしたら、「強い子に対して、いじめを拒否する」とか、「強い子の強さを発揮させないようにする」ということは、これからの人生にとってとても大切なこと。
だから、いじめに遭っていると聞いて、カッとするのではなく、人生にとって大事な力を育てるチャンスだと、まず考えてみてほしい。
どの子どもにも弱い部分があります。
いじめというのは、子ども同士の世界でその弱いところを突いてくるしたたかな子どもがいるということです。
親としては、何かあるたびに出て行って子どもを救ってやっても、その子の弱いところは直りません。
だから、その場は収まっても、きっと、2度でも、3度でも同じことが起きるでしょうし、中学に行っても高校に行っても同じことの繰り返しになります。
そのままだと、結局、社会に出てもいじめの対象になったりする。
だから、いいチャンスが来たと考えます。
「徹底的に直したほうがいい。一緒に考えよう」と子どもにも言う。
いじめられっ子には共通する弱点があります。
いじりたくなるような部分がある。
どうしたいのかが判然としないとか、「嫌だ」と言えばいいのに言わないとか、子どもに、「お前にこういうところないかい?」と聞いてあげます。
そして、相談に乗ってあげる。
「ここが弱いのなら、ここを強くしよう」「どうやったら、強くできるか考えてみよう」「どういうふうにすればいいと思う?」と一緒に考える。
解決策を一緒に考えていくのです。
それが一番いい。
親がすべきこととしていちばん大事なのは、「どうするのか」と相談に乗ってあげて、子どもが自分の考えをまとめていく手伝いをしてあげることです。
それをしないと、その子どもはこれからもずっといじめに悩むかもしれない。
いじめに遭うということが人生の早い時期に出てきてよかった、この子に生き抜く力をつけてやらないといけないんだ、と考える。
生きていく上で、「他人に自分の人生を委ねる」ことが最もいけないことです。
そういう意味で、弱いところがあるなら、その子が自分で直さなくては駄目。
生きていくのはその子ですから。
ただ、いじめの中には、その子の努力では止められない悪質なものもあります。
そのときは、やはり大人の世界で解決を図ることが必要になります。
最近、多くの学校に「おやじの会」というのがあります。
文部科学省が、学校·家庭、地域が一体となって地域ぐるみで子供を育てる体制を作るために、「学校の地域支援本部」を推進しているのですが、おやじの会がその活動をやっていることも多い。
おやじの会には、いじめている子どもの親も入っていますから、親同士で問題解決に乗り出しやすい。
私はいじめの相談を受けるといつも、「おやじの会はありますか」と聞きます。
「あります」という答えだったら、おやじの会をどう動かすかが一つの鍵です。
最近では、校長や教員も、おやじの会に一目置くようになってきましたから、おやじの会からの申し出もできる。
たとえば、「おやじの会から交代で、いじめカウンセラーを出して、チェックしよう」というふうに。
最近、かなり悪質ないじめの相談を受けたのですが、最終的には、双方の親と子どもと、4人で一緒に話し合って解決しました。
最初から、外の力に頼るだけでは駄目ですが、場合によっては、そういうサポートも必要になりま
す。
下記の本を参考にしました
『ぶれない軸をつくる東洋思想の力』
田口 佳史 他1名
光文社新書