こんにちは。冨樫純です。
「気候変動と経済的旧体制」ついてのコラムを紹介します。
気候変動がこれほど影響を与えていたことに驚きました。
気候変動が人間の歴史にあたえた影響については、これまで十分に論じられてこなかった。
しかし、たとえば17世紀におこったイギリスにおける革命と大陸における戦争(「三十年戦争」)で特徴づけられるヨーロッパの「17世紀の危機」の背景には、この時期が小氷期だったことがある。
ウィーン体制末期の1840年代後半も、天候不順が続く時代であった。1845年にはアイルランドで「ジャガイモ飢」がはじまり、その後の数年で100万人といわれる餓死者と移民を生んだ。
天候不順には食糧の不足や疫病の流行をもたらし、社会を危機的な状況に陥れたのである。
ヨーロッパ全土でもジャガイモや小麦などの主食用作物が深刻な不作に陥ったが、その原因は長雨や低温などの天候不順であった。
しかも、イギリスをのぞくヨーロッパ各地の経済システムにおいては、19世紀なかばの主要産業は農業であった。
そのため、不作は、単に食糧不足を招くのみならず、人口の多数を占める農業従事者の所得の低下、工業製品市場の縮小、農業のみならず、工業すなわち経済全体の不況をもたらす危険があった。
このような経済システムは、フランスの歴史学者ラブルースの言葉によれば、「経済的旧体制」とよばれているが、1848年の2月のフランスは経済的旧体制下の不況にあり、困窮する人びとの不満は高まっていた。
こうして天候不順が革命に帰結したのである。
この経済的旧体制が消滅するには、産業革命が完了し、工業が主要産業になることを待たねばならなかった。
下記の本を参考にしました。
『新 もういちど読む 山川世界史 』
「世界の歴史」編集委員会 (編集)
山川出版社