こんにちは。冨樫純です。
「社会契約論」についてのコラムを紹介します。
当時の統治者は自らの権力の正当性を非統治者に対して示すために、神の権威を利用するところがおもしろいと感じました。
現代ではあまり考えられない発想です。
中世のヨーロッパでは、政治的には封建貴族による地方分権という状態が続きましたが、16世紀頃になると中央集権化が進み、王権を中心とする強大な統一国家が現れはじめます。
いかなる統治形態であれ、統治者は自らの権力の正当性を非統治者に対して示す必要があります。
国王たちは神の権威を利用することで、これを成し遂げます。
国王の権力は、神によって授けられた神聖なもの
であるというわけです(王権神授説)。
このような考え方に対して、国家の成り立ちを契約によって説明しようとする政治思想が17世紀から18世紀にかけて登場します。
それが、ロック、ホッブス、ルソーに代表される社会契約論です。
社会契約論に共通する理論的枠組みは、まず、国家が誕生する以前の自然状態を想定し、そこから契約によって国家が成立するプロセスを説明する、というものです。
想定される自然状態が異なってくると、国家が成立するプロセスもおのずと異なるものとして説明されることになります。
ホッブズ(1588~1679)は自然状態を戦争状態であると考えましたが、ロック(1 632~1704)やルソー(1712~1778)は自由で平和な状態だと考えました。
特にルソーは、人間は自然状態から踏み出すことで不平等や不幸が生じ、人間は堕落していく、という考えを鮮明に打ち出しました。
下記の本を参考にしました
『1日で学び直す哲学』
常識を打ち破る思考力をつける
甲田 純生著
光文社新書