こんにちは。冨樫純です。
「社会保障と経済」に関するコラムを紹介します。
ぼくも、社会保障と経済の間のバランスを取るのがいいと思いました。どちらかを過度に重視するのではないということです。
経済との関わりという視点から見た社会保障の機能には、いろいろとある。
たとえば、社会保障は所得のうちで消費にまわす割合の高い低所得の人たちに所得移転し購買力を与えるため、消費を促し、経済成長に資するという面もある。
しかし逆に、高所得者に相対的に重い負担を課すことや、年金制度により老後の備えの必要が少なくなることから、貯蓄が減り、経済成長を支える投資に資金がまわらなくなり、経済成長を阻害するというマイナス面も指摘される。
このほかにも、手厚い社会保障は、働く人が安心して仕事に専念できるようにしたり、育児や介護の支援により女性の就労を促進したりすることにより、労働の質を高めたり労働供給量を増やして経済成長に貢献するという働きもある。
他方で、社会保険料の負担の増加は、働く人の手取り所得を減少させ、労働への意欲を損なったり、人を雇う費用を増加させるため企業の国際競争力を弱めたり、失業が増加するなどのマイナス面も指摘される。
今日のように社会保障が経済に占める割合が大きくなると、国民経済との相互の関わりやこれに与える影響も社会保障のあり方を決めるうえで重要な視点となる。
ただ、1つだけ気をつけておきたい点がある。
たしかに経済への影響という視点は大切だ。
経済は私たちの生活のかけがえのない基礎なのだから。
しかし、そもそも社会保障の目的は人々の健康で安心した生活を保障することであって、経済成長を達成するための手段ではない。
最近の社会保障をめぐる論議のなかには、この点の主客転倒が見られるものもある。何のための制度なのか、この基本的な視点だけは見失わないようにしたい。
下記の本を参考にしました。
『はじめての社会保障 』福祉を学ぶ人へ
椋野美智子・田中耕太郎著 有斐閣アルマ