こんにちは。冨樫純です。
「スポーツ」に関するコラムを紹介します。
ぼくはおもしろく読みました。
私たちは日常生活で「スポーツ」ということばをよく使うが、では「スポーツ」とはなんだろう。ジョギングは「スポーツ」だろうか。
いろいろなアンケートではキャンプや釣りまで「スポーツ」に含めていることがある。
すぐに思い浮かぶことは運動の激しさ、運動量の多少であろう。
言いかえれば、消耗するエネルギーの大小である。けれども、それだけではない。
たとえば、ゴルフやゲートボールはどうだろう。たしかに、サッカーやラグビーと比べると運動量は少ないが、立派な「スポーツ」である。
他方、建築現場や運送業などで肉体労働をしている人びとは、運動量はかなり多いがけっしてスポーツをしているとはいわない。
また、父親と息子が近所でキャッチボールをしているのと、甲子園球場で行なわれる高校野球の大会とは少し性質が異なる。
正月の休みに職場の仲間と行くスキーと、国体やオリンピックで争われる大回転などのスキーとは何か違っている。
たとえ同じゲレンデに立ち、同じスキーやブーツ、ウェアを着用したとしても前者と後者には大きな違いがある。
さらに、実際にからだを動かして活動している人の気持ちや心構えも、それがスポーツかどうかを決めるひとつの基準になるだろう。
たとえば、アマチュアのレスリングでは、自分の技術と体力を使って相手と戦い、相手に勝つという「おもしろさ」や満足感(内的動機)と、試合で勝つことにより、コーチや周囲の人びとから賞賛されるという喜び(外的動機)がある。
プロのレスリング、つまりプロレスは、そういうことも少しはあるだろうが、むしろ観客に見せるショウとしての要素が大きくなり、報酬(外的動機)を求める「仕事」としての活動と言うことができよう。
また反対に「おもしろさ」や満足感だけを追求していくと、家庭のたたみの上でプロレスごっこをしている子どもたちのように、それはスポーツではなくて、たんなる「遊び」になってしまう。
下記の本を参考にしました。
『ソシオロジー事始め』
中野 秀一郎 (編集)
有斐閣ブックス