こんにちは。冨樫純です。
哲学や倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
相互協調的自己観
北山氏の著書『自己と感情』によれば、この自己観は「日本を含む東洋文化で優勢」であり、「自己とは他者と相互に協調・依存したものである」という。
「人間関係そのもの」が、「自己の中心的定義となる」として、「一人前」の人の必要条件とは「意味ある社会的関係を見いだし、自らをその中の重要な一部分として認識し、またまわそう認識されることである」といいます。
増田、山岸の両氏は「自己は、自分に近い他者との間で明確な境界線では区切られていない。〔中略〕父親、母親、友人、兄弟姉妹、あるいは知人といった他者が境界線を越えて自己の枠組みに入り込んでい」て、「まわりの人に自分を合わせたり、自分の役割を果たすことに喜びを見いだす必要がある」と指摘します。
ここでは北米つまりアメリカ人やカナダ人が全員相互独立的自己観で、東アジアの人々が全員相互協調的自己観とは言っていません。
また東洋(アジア)はもちろん一枚岩ではありません。アジアは大きく東アジア、東南アジア、南アジアなどに分けられます。
その中の東アジアにおいても日本と韓国、中国、台湾の間に共通点もあれば、相違点も見られます。
相互協調的自己観のアメリカ人・カナダ人や相互独立的自己観の日本・韓国人・中国人は確かに存在します。
ただし、北米と東アジアを比較すると二つの文化的自己観の比率(%)に差があることを意味しています。
なお、北山氏は、この二つ以外の文化的自己観もありうるが、世界的に見てこの二つが典型的であると主張しいます。
また北山氏は、日本における相互協調の特徴として、役割志向性および情緒的関与、という二つの次元を挙げています。
前者の役割志向性について、北山氏の「自己と感情」は「役割を果たすことの重視は、社会的に与えられた目標像(らしさ)に向けて、努力することの重視につながる」
「例えば、自分の学力の不足を日本人は、欧米諸国よりも努力不足に帰す傾向が強い」とします。
その上で、日本文化では、自己批判的になることにより、自らの欠点、短所、問題などを見つけだし、絶え間ない日常的努力により、これを矯正するという自己向上のプロセスが文化的に広く共有されていると指摘します。
感想
日本文化では、自己批判的になることにより、自らの欠点、短所、問題などを見つけだし、絶え間ない日常的努力により、これを矯正するという自己向上のプロセスが文化的に広く共有されている
という箇所がおもしろいと思いました。
努力によって克服しようとすることが望ましいという風潮はたしかにあると思いました。
下記の本を參考にしました
『「頑張る」「頑張れ」はどこへいく』
努力主義の明暗
大川清文著
帝京新書