とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

脅しの技法

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題 脅しの技法

 


警察に訴えて、2002年4月、関西太郎、団力、和子の三人は逮捕されるのだが、宮本に相談し説得されるまで高輪は警察に行かなかった。

 


高輪が関西太郎にはじめて会ったのが 1999年12月下旬。

 


2年以上も高輪は警察に訴えなかったのである。

 


そのあいだ、関西太郎から暴行を受けたこともあった。

 


被害額は570万円の現金および自動車。

 


さらには、白紙小切手まで交付させられ、会社倒産の危機にまでいたった。

 


心労のあまり、うつで入院し、自殺まで考えた。

 


それでも警察には行かなかった。

 


なぜか。

 


それはヤクザの脅しのポイントが、いかにして相手に一人で問題を抱え込ませるかにあるからだ、と宮本は言う。

 


関西太郎の脅しが効果的だったということである。

 


そのための典型的な脅し文句が、「オマエなんかぶち殺すんは簡単なんやからな。オマエだけやない。オマエの親兄弟、身内全部ただではおかんぞ!」というセリフである。

 


すでに相手には常識や理屈が通用しないことがわかっているので、もしかするとほんとうに家族に被害が及ぶかもしれない、と素人なら考えてしまう。

 


「しょうもないこと考えたらあかんで。こうみえてもワシ、執念深いでの」といったセリフも脅しとしてよく使われる。「しょうもないこと」とは、警察に行くこと。

 


「執念深い」とは「お礼参り」つまり仕返しのことを意味する。

 


その結果、高輪は親にも相談できなくなった。

 


相談すれば親はすぐ警察に行けと言うだろう。

 


そうなれば、関西太郎のお礼参りが家族にも及ぶ。だから親に相談できない。そう高輪は判断してしまったのである。

 


また、やさしさと怒鳴ることを交えて脅すというスタイルも特徴的である。「オマエはオレの宝なんやで」とやさしい口調だったかと思うと、次の瞬間には怒鳴りあげる。

 


ずっと怒鳴り続けるよりも、ときどきやさしさを見せて相手にホッとできる瞬間を与えたほうが、

脅しの効果も上がるのである。

 


さらに脅しの効果をパワーアップさせるために、「現場あわせ」という芝居をヤクザは行なう。

 


たとえば、高輪を恐喝している最中、関西太郎はとつぜん包丁を持ち出す。

 


そして、「こんなことになったのは団力、オマエのせいや!」と団力を袋叩きにし、「オマエの指詰めたる!」と団力の手をテーブルに押さえつける。

 


団力は顔面蒼白となる。

 


しかし、これはすべて演技である。

 


関西太郎、団力、和子の三人はあらかじめ「現場あわせ」することを決めておき、あとは「その

場その場で相手の出方に応じてそれぞれが芝居をする」のである。

 


しかし高輪はそれが演技だとは想像もしない。

 


そして、団力を許してもらえるよう懇願する。

 


すると関西太郎は、2000万もってこい、それができないならベンツ一台用意しろ、と無理難題を突きつけ、結果として数十万円脅しとる。

 


あまりに高額な金を要求されたあとでは、数十万円も安いように錯覚してしまう。

 


感想

 


テレビや映画のワンシーンのようです。

 


それが、こういう心理を上手く利用していると思うと、見方が変わりました。

 


下記の本を参考にしました 

 


『コミュニケーションの社会学

 長谷 正人 他1名

 有斐閣アルマ