こんにちは。冨樫純です。
哲学や倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
嗅覚とにおい
まずわかりやすいのは嗅覚だろう。
食べ物から揮発した分子は空気中を伝播し、鼻のなかに入り嗅覚受容体を刺激する。
しかし、分子が伝わる経路はこれだけではない。口の奥の方から鼻の奥へと続く経路があるため、食べ物を口に入れて咀嚼すると口のなかから分子が嗅覚受容体へと上がっていくのだ。
前者の経路で感じられるにおいは「立ち香り(オ
ルソネイザル)」、後者のにおいは「口中香(レトロネイザル)」と呼ばれている。
嗅覚受容体はおよそ400種類あると言われており、それらの反応の組み合わせによって数えきれないほど多くのにおいが区別される。
そして、これが味の豊富さを説明してくれる。つまり、私たちが普段感じる味には、嗅覚受容体の反応も関わっているのである。
舌だけでは区別できないものが鼻で区別されているのだ(風邪をひくと味がわからなくなるのは、口の奥から嗅覚受容体にいたる経路が鼻水でふさがれるからだ)。
むしろ、区別できる種類の多様さをみるなら、味の大部分を決定しているのは嗅覚だとも言える。
実際、病気や事故によって嗅覚を失った状態(アノスミア)になると、食感や甘さやしょっぽさは感じられても、味がほとんどわからなくなってしまうという。
においが味を決定するということは、においをどのように取り込むかによって味が変化するということになる。
ロ中香をコントロールするのはなかなか難しいかもしれないが、それと比べると立ち香りはコントロールできる。
たとえば、ビールやワインのグラスはさまざま
な形のものがあり、グラスの形状に応じて鼻に入ってくる分子が違ってくる。
ビールは同じでも注ぐグラスの口の広さが違えばビールから鼻へと入る分子の量が変わり、感じられる味関連する別の話として、かき氷のシロップの例を紹介しておこう。
最近のかき氷は凝っているので当てはまらないかもしれないが、少し前のかき氷のシロップはイチゴ味もレモン味も同じ砂糖水からできていた。
違うのは香料と着色料である。こうした話を聞くと、「騙された!」と思うかもしれない。イチゴ味でもレモン味でも、舌を刺激するのは同じ砂糖水なのだから味は同じであるはずなのに、色とにおいが違うから違う味だと錯覚してしまった、ということだ。
しかし、先ほど説明した嗅覚と味覚の関係を考えると、それは錯覚ではない。
香料の違いはまさに味の違いなのである。
感想
匂いで食欲が唆られるといいますが、科学的にもやはり味覚に影響するようです。
下記の本を參考にしました
『美味しい』とは何か
食からひもとく美学入門
源河 亨