こんにちは。冨樫純です。
独学で、憲法を学んでいます
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
二院制の類型
A:では、もういちどいい直します。 議会を二院から構成する制度をとっている国を類別しますと、連邦制型と貴族院型、それにそのどちらでもない第3の類型があるといえます。
第1の類型は、アメリカ合衆国とかスイスとかドイツとかにみられるもので、アメリカの場合についていいますと、国民の代表からなる下院と州代表からなる上院とがあります。
T:ただ、ドイツの場合を第1類型に入れてよいかどうかは、ちょっと問題だけどね。
B : 先生、それはどうしてですか?
今のA君の説明で間違っていないように思うんですが・・・・・・。
T:じゃあ、A君、二院制をもういちど定義してくれますか。
A : えーっと、二院制というのは、要するに国会、じゃなかった、議会が2つの独立した会議体からできていて、その両方の独立した意思決定が合致しなければ、原則として議会としての意思決定が完成しないという制度だと思います。
T: そうすると、少なくとも現在のドイツの場合には、立法機関はあくまでも連邦議会で、たしかに連邦参議院というのは、立法に参与したり協力したりするけど、憲法のたてまえからすると、連邦参議院の同意がないと法律が成立しないのは、憲法に定められてる場合だけで、原則としては連邦議会の議決が法律の成立要件なんだ。
B:なるほど、そうなんですか。 スミマセン、不勉強のくせに偉そうなこといって….....。
T:いや、それでいいんだよ。 疑問を感じたら、 恥ずかしいと思わずに何でも積極的に質問しないとダメなんだ。君のような態度がゼミにはむしろ望ましいんだ。
とくに最近、ほとんど発言しないおとなしすぎる学生諸君が多くなってきたように思うんだけど、もう少し論争好きにならないと困るよ。
では、ドイツのことはさておくとして、A君、先ほどの類型の説明を続けてください。
A:はい。 それで、第ニの類型はイギリス型で、貴族のような特殊な身分があって、そうした身分の利害を代表するための機関が置かれる場合です。
フランスのモンテスキューが『法の精神』という
有名な本の中で主張していた二院制も、この類型だといっていいと思います。そして明治憲法の貴族院もこの類型といわれています。
でも、こうした類型をとっている国は、現在ではもう非常に少なくなっています。
C : それは当然だと思うんです。 日本にも昔は貴族があったんだ。
だから、貴族院が必要だったというのはわかるけど、戦後は天皇や皇族のような特殊な一部の存在は別にして、貴族という身分がなくなって (憲法14条2項)、国民主権の民主国家になったんだから、国民を代表する議会が二院から構成されなきゃいけない理由はなくなったんじゃないんですか。 むしろ、国民の代表機関である議会は1つで十分で、参議院なんか要らなかったんじゃないかと思うんですが…………。
TC君、大切な点に気がついたね! 実は日本国憲法は、当時のアメリカの総司令部が作った草案 (普通「マッカーサー草案」と呼ばれます) を基礎としてつくられたんだけど、その草案では、「国会
は、300 人より少なくなく500人を超えない、選挙された議員から成る、単一の議院で構成する」 というような文言になっていたんだ。
日本にはアメリカのような州はないんだし、それにイギリスと違って貴族を廃止したんだから、もはや二院制をとる意味はなくなった。
B : それがいつのまに二院制ということになったんですか?
A: その点について説明しますと、当時の日本政府は司令部との交渉で、やはり二院制の方が一院制に比べて少なくともわが国の制度としては長所があると信じている。
しかも、貴族院ではなく参議院という新しい形態のものにしたい、というようなことを強く主張して、結局これが認められたという経緯があるんです。
ただその際に、総司令部側は、衆議院だけではなく参議院も民選議員で構成されることが絶対条件だとしたとされています。
感想
二院制になった経緯はわかりました。
ただ、そのメリット、デメリットは気になります。
下記の本を参考にしました
『いちばんやさしい 憲法入門』
初宿 正典 他2名
有斐閣アルマ