とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

データを使って不安のもとを可視化する

こんにちは。冨樫純です。

 


心理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル

 


データを使って不安のもとを可視化する

 


人は不確実な状況におかれたら不安を感じやすい。

 


だとすれば、まずは不安のもとになる不確実性をできるだけなくしていこうというアイデアが思いつきます。

 


ここでは、記録やデータで不安をみえるようにして、自分でコントロールできる要素を見つけよう

とした、過去の私の経験を紹介したいと思います。

 


あくまで個人的な経験なので、多くの人が同様の状況に遭遇するわけではありません。

 


しかし自分ではない、他の誰かが経験した具体例を通して気がつくこともあると思いますので、ぜひお付き合いください。

 


私には3人の子どもがいますが、そのうちの2人は一卵性の双子です。双子は妊娠・出産時のトラブルが多く、私も例にもれずに「切迫早産(まだ生まれるには未熟にもかかわらず出産のプロセスが進みかねない状態)」の診断とともに入院となりました。

 


出産にはまだまだ早すぎるタイミングでいつ生まれてもおかしくない状態になったのです。

 


このまま妊娠が維持できるのか、それとも明日には出産になってしまうような状況に、私自身不安で押しつぶされそうになりました。

 


病室でずっと寝ていなければならない中、不安を少しでもコントロールできればと考え、その日の出来事を記録し始めました。

 


ありがたいことに、主治医の先生は頻繁にお腹の中の2人の子どもの推定体重をエコー検査で算出してくださったので、その数値や先生との会話、病室での出来事を毎日暇なので) 記録し続けたのです。記録と表現していますが、いわゆる日記ですね。

 


日々たまっていく記録を見返す中で、少しずつ2人の推定体重が増えていることを実感できました。

 


なにより、毎日の記録の積み重ねは、「まだ幸い出産に至っていない」という事実にも目を向けさせてくれました。結局入院は90日ほどにわたりましたが、その当時の記録は10年以上経った今も残っており、たまに読み返すこともあります。

 


点滴量、双子の推定体重、自分の体重(恐ろしいほど増えているのに自分は気づいていたのですが先生は出産直前まで気づいていませんでした)など、数値で示されるものに加え、自分のその時の感情状態を中心に記録をしました。

 


記録を取って保管しておけば、自分が記録した出来事やその時の感情状態を、より客観的に理解できる場合があります。

 


双子を出産してからも、さまざまな形で記録を取り、不安に向き合うことになりました。

 


保育園初年度は子どもたちがたびたび感染症に罹患し、仕事との両立に苦労しました。親の生活の仕方が悪いのか、子どもの体が弱いのか、それともその両方かと、「原因」を突き止めようとして右往左往しました(いずれも自分や子どもに対して内的帰属をしていることに気づきます)。

 


2年目以降はいくぶん病気に感染する回数が減ったように感じていましたが、この綱渡りの生活がいつまで続くのかという不安は常にありました。

 


そこで現状をより客観的に把握しておこうと、登園2年間の子ども3人の登園率を調べてみました。

 


少なくとも3つのことがわかります。1つ目は、3人の体調はそれなりに連動しているように見えること。2つ目は、保育園1年目よりも、2年目の登園率がかなり向上していること。そして3つ目は、いずれの年においても秋に体調がいいことです。

 


もちろん、たった3人分のデータなので、この図を作ることによって子どもが一般的にいつごろ病気になるかをピンポイントで予測できようになるわけではありません。

 


しかし我が家の子どもたちに関して、体調が良い、もしくは悪いタイミングがあるとしたらそれはいつ頃なのか、2年間の欠席の傾向を1つの図にして眺め振り返ることは仕事のスケジュールを組む上でも役に立ちました。

 


また、病気に罹患する「原因」を突き止めようとして疲弊するのではなく、病気になった時はこう動く、という具体的な対策も考えられるようになりました。

 


つまり、どうすれば子どもが病気にかからないかを一生懸命考えていたのですが、病気にかかった後にどうするかを考えるように変わったのです。

 


子どもが病気にかかることに対する心の準備もでき、不確実性の低減に少しは寄与したのではないかと思っています。

 


ここでは子育てに関わる私の経験を具体例に挙げましたが、記録やデータを取り、そのままでは目に見えない不安や不確実性を生み出している要素を目に見えるようにしていくという方法は多くの場面で活用できるはずです。

 


いろいろな角度から情報を眺めてみると、今まで見えてこなかったことも見えてきます。

 


自分の思い込みに気づいたり、コントロールできることとできないことを見極めたりするためのサポートをしてくれるでしょう。

 


感想

 


記録やデータを取り、そのままでは目に見えない不安や不確実性を生み出している要素を目に見えるようにしていくという方法は多くの場面で活用できるはずです、という箇所が印象に残りました。

 


可視化していくことで、不安が和らいだりすることはあると思います。

 


下記の本を參考にしました

 


『「心のクセ」に気づくには 』

 社会心理学から考える

 村山 綾

 ちくまプリマー新書

 

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