こんにちは。冨樫純です。
政治哲学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
「福祉国家」の哲学的基礎?
ロールズ流の正義構想を実現するためのコストの問題について、触れておきたいと思います。
ロールズは『正義論』で税と再分配の制度について詳しく述べていました。
政府による公共財の供給とソーシャル・ミニマムの保障を賄うためのメインの租税として、「[個人の消費支出を課税ベースとする〕 定率の支出税」を提案しています。
どんな種類の所得税よりも定率の支出税の方が好ましいとされるのは、それが「財の共有の蓄えからどれだけ取り出したかに応じての課税」だからだと説明されています。
つまり、どれだけ消費したかに応じて徴税するというのです。
また、基本財を分配するための政府の関連諸部門として、配分部門、分配部門、安定化部門、移転部門が考察されています(ロールズは「配分 (allocation)」 と 「分配(distribution)」を明確に区別していて、前者は効率を重視する場合、後者は公正を重視する場合に用いられています)。
このようにして見ると、ロールズ正義論は福祉国家の哲学的基礎を提供するものであるように見えます。
しかし、ロールズ自身は「福祉国家」という言葉を用いませんでした。
なぜならロールズの狙いは「事前的な」 分配状態をより平等にすることにあり、「事後的な」再分配に専念する福祉国家の狙いとは異なるからです。
こうした課税や規制のねらいは、歳入を引き上げる(政府に諸資源を引き渡す)ことにあるのではなく、段階的・継続的に富の分配を是正し、かつ政治的自由の公正な価値および公正な機会均等にとって有害な権力の集中を阻むところにある。
たとえば累進税率の原理が〔遺産・遺贈の〕 受領者の取り分に適用されるだろう。
これによって、所有(財産)の広範な分散が促される。平等な諸自由の公正な価値が維持されるべきだとすれば、所有の分散は必要条件のひとつであるように思われる。(ロールズ 『正義論』)
感想
ロールズ正義論は福祉国家の哲学的基礎を提供するものであるように見えます、という箇所がまさにその通りだと思いました。
そうではいようですが、その違いは分かりませんでした。
下記の本を參考にしました
『正義とは何か』
現代政治哲学の6つの視点
神島 裕子著