こんにちは。冨樫純です。
政治哲学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
何の平等か機会
イギリスの政治哲学者アダム・スウィフトも、「何の平等か」について議論を深めている一人です。
彼は「フィロソフィー・バイツ」というポッドキャストの2015年のインタヴューで、「子どもに寝る前の読み聞かせをすることは機会の平等の観点から道徳的に許されるか」という興味深い問題提起をしました。
寝る前の読み聞かせをしてもらった子どもの方が、職業的・金銭的に見て将来の成功率が高いという調査結果がある。
そうであるならば、読み聞かせを受ける機会の不平等を問題にしなければならないのではないか、というのです。
たしかに子どもは、読み聞かせをしてくれる家庭環境を選んで生まれてくることはできません。
家庭環境という偶発性がもたらす有利・不利を、ロールズ流の正義論は放置することができないはずです。
「機会の平等」の観点からすると、親の功績(メリット)が子どもに受け渡されるベッドタイム・ストーリーは認められるのか。
読み聞かせをしてもらえない子どもの家庭には、ヘルパーが派遣されるべきなのか。
あるいは読み聞かせをしてもらえなかった子どもは、入学試験や就職活動におけるポジティブ・アクションの対象とすべきなのか。
それともすべての家庭で読み聞かせを禁止すべ
きなのか。反対にすべての家庭で読み聞かせを義務にすべきなのか。は想像を掻き立てます。
ハウスとの共著で明らかにスウィフト自身は、親子の愛着関係の醸成という観点から、「読み聞かせの禁止」については否定的です。
しかしその代わりに、保護者の経済状況や教育に関する意識が大きく作用する、子どもの私立学校でのエリート教育には反対しており、そのようなエリート教育制度の廃止を示唆しています。
この難問は、社会における教育格差と所得格差の拡大とともに、日本においても現実味を帯びてくるかもしれません。
感想
おもしろい問題提起だと思いました。
また、絵本の読み聞かせは子どもにとって、効果的であることも改めて学びました。
下記の本を參考にしました
『正義とは何か』
現代政治哲学の6つの視点
神島 裕子著