こんにちは。冨樫純です。
哲学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
幸福であるなかの不幸
ラッセルは冒頭で、自分が幸福について考えを述べるにいたった理由を説明している。
動物は、健康で、食べる物が十分にあるかぎり幸福である。
人間も当然そうだと思われるのだが、現代世界ではそうではない。
取り立てて不自由のない生活。
戦争や貧困や飢餓の状態にある人々なら、心からうらやむような生活。
現代人はそうした生活をおくっているのだが、しかし、それにもかかわらず幸福でない。
満たされているのだが、満たされていない。
近代社会が実現した生活には何かぼんやりとした不幸の空気が漂っている。
自分が論じたいのは、そのような現代人の不幸、すなわち、「食と住を確保できるだけの収入」と「日常の身体活動ができるほどの健康」をもち合わせている人たちを襲っている日常的な不幸である、とラッセルは言う。
人はそれを贅沢病と呼ぶかもしれない。
飢餓や貧困や戦争に比べれば何のことはないと言う人もいるかもしれない。
だが、日常的な不幸には、そうした大きな非日常的不幸とは異なる独特の耐え難さがある。
何かと言えば、原因が分からないということである。
飢餓や貧困や戦争にははっきりとした外的原因がある。あるいはそれが分かっている。
しかし、日常的な不幸にはそれがない。なんとなく不幸であるのに、なぜだかが分からない。
だからこそ逃れようにも逃れられない。そのことがこの不幸をますます耐え難くする。
ラッセルはこの何だかよく分からない不幸に対して、「一つの治療法」を提案しようと試みるのである。
感想
なんとなく不幸であるのに、なぜだかが分からない、という指摘はたしかにそうかもしれないと思いました。
下記の本を参考にしました
『暇と退屈の倫理学』
國分 功一郎