とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

「正しさ」の多様性

こんにちは。冨樫純です。

 


哲学や倫理学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル  

 


どの「正しさ」が問題か

 


たとえば、通常なら1時間で着くはずの山頂まで3時間かかったとしよう。

 


そのとき「道を間違えた」とか「正しいルートを選択しなかった」と言われる。

 


この場合の「正しい/違い」は「効率が良い/悪い」と言い換えることができるものである。

 


他方で、「○○事件が起こったのは西暦何年か」という歴史の問題に回答して「正しい」と言われた場合の「正しい」は、自分の回答と答えが一致しているということである。

 


「間違い」は一致していなかった場合だ。

 


この場合の「正しい/間違い」には効率という観点は入ってこない。間違った年号を答えた人が何か効率を良くする手段をとっても、その回答が正しいものとなるわけではないだろう。

 


さらに別の例として、「人として正しい行い」「間違った振る舞い」というものもある。

 


この場合の「正しい/間違い」は、人としてふさわしい道徳的に良い、といった意味で使われている。

 


山頂までの最短ルートを選択できたり、事件が起きた年号を記憶していたりすることと、道徳的に正しいことは無関係だ。

 


以上のように、「正しい/間違い」は場面によって異なる意味で使われる。ここで取り上げなかった他の意味もあるだろう。

 


そうすると、「評価に正誤は問えるのか」という問題を考えるうえでも、そこで言われる「正しい/間違い」が何を意味しているのかを明確にして

おかなければならない。

 


感想

 


「正しい/間違い」は場面によって異なる意味で使われる、という箇所が特におもしろいと思いました。

 


下記の本を參考にしました

 


『美味しい』とは何か    

 食からひもとく美学入門

 源河 亨

 中公新書

 

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