とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

大臣と年功序列

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、政治学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


閣僚の任免権

 


閣僚の任免権という権限を考えてみよう。

 


この権限は大統領も有しており、この権限だけを見るかぎりでは、大統領の方が強いリーダーシップを行使できる可能性がある。

 


総理大臣がもつ閣僚の任免権は大きな権限である。 大臣や長官の地位を与えることによって、議員から忠誠心を引き出すことができ、その結果リーダーシップは高まるであろう。

 


また、自分に反対する大臣を罷免し、罰を与えることで、邪魔者を除外したり、潜在的な反対を防止したりすることもできよう。

 


さらに重要課題とみなす政策を立案実施するためには、必要な人材を思うように配置することが必須でもある。

 


この任命に関して、憲法上は過半数を国会議員の

中から選ぶということだけが条件となっている。

 


しかし、現実に閣僚を自由に任免できるかどうかは、総理大臣が与党内でどのような勢力基盤をもっているかに依存している。

 


保守合同による自民党政権が確立した1955年当時あるいはそれ以前には、大臣の人事は総理によってかなり自由に行われていた。

 

戦後日本の基本的路線を決めた吉田茂は、側近の官僚出身若手議員を抜擢して大臣ポストに据えたりしている。

 


ところが、長期政権が続くなか、自民党の人事慣行は安定したルールに基づくようになっていった。

 


第1に、大臣への任用は年功序列制度に似たものになってきた。 衆議院議員の場合、当選を6、7回重ねたころに大臣の声がかかり出すというぐあいである。

 


この要請に応える意味もあって総理大臣は任期中に何回か内閣改造を行い、大臣の入れ替えを行う。

 


そうしないと、大臣になれない議員ができてしまうからである。 このため総理大臣の自由度は下がった。

 


第2に、大臣の配置も党内の派閥の均衡を重視するようになっていった。 かつては、岸内閣のように、8つの派閥のうち自派と佐藤派だけで 22 の閣僚ポストのうち12ポストを占めてしまうこともあり、派閥の大小によってポスト数の割り当てが決まる傾向が出た。

 


しかし、このような岸の強硬な姿勢に対する批判が強まっててきた。派閥均衡人事が一般的になってきたのである。

 


この慣行もまた、総理大臣の閣僚人事権を事実上制約していった。

 


第3に、派閥均衡人事の結果、重要な閣僚ポストは主要派閥のリーダーや重要幹部が占める場合が多くなっていった。

 


大臣は自力であれ派閥の後押しであれ、それなりの力をもっていることが多い。

 


そのために大臣のクビを切ることは容易ではない。

 


アメリカの行政各部の長官、閣僚は大統領の友人や支持者であることが多く、連邦議会の議員から選ばれることはまれである。

 


したがって、大統領の命令に従うのは当然と考えられ、異論を唱えることは少ない。

 


アメリカの大統領と閣僚との関係は、しばしば次のようにたとえられる。 大統領が 「ジャンプしてみろ」と命令した場合には、閣僚はその命令に応じざるをえず、せいぜい「どれくらい高く?」と聞き返すしかできない。 これに対して、もし日本の総理大臣が閣僚に対して同じ命令を下した場合には、自分の派閥のメンバーを除けば、「どうしてそのようなことが必要なのか」 と言い返してくるであろう。

 


このように、総理大臣と大統領の閣僚任用権はずいぶんと異なっているのである。

 


このような状況においても、技量ある政治家の場合には人事権を利用して、徐々にではあれ、 自分の基盤を強化していった。

 


しかし、小派閥 (あるいは小党)出身の総理大臣は人事権を思うように行使するだけの影響力資源をもっていない場合が多い。

 


いずれにせよ、党内外のライバル政治家が次の総理大臣の座をねらって牽制する場合には、総理大臣とはいえ、自由に内閣を形成することもなかなか難しいのである。

 


同様なことは、閣僚の罷免権についてもいえる。

 


閣僚を罷免することは、よほどの正当な理由・大義名分がないと、政権党の内部での支持を失うことになる。

 


閣僚はほとんどの場合、重要な議員・党幹部なのである。この権限もまた重要な影響力資源であるが、なかなか使いにくいという面がある。

 


感想

 


大臣への任用は年功序列制度に似たものになってきた。 衆議院議員の場合、当選を6、7回重ねたころに大臣の声がかかり出すというぐあいであるという箇所をおもしろいと思いました。

 


政治の世界にも年功序列があるとは思いませんでした。

 


下記の本を参考にしました

 


『はじめて出会う政治学

 構造改革の向こうに

 北山 俊哉 他2名

 有斐閣アルマ

 

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