とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

ギリシア人にとって意味ある人生とは

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、政治学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


自由・正義・法

 


古代ギリシアにおけるポリス世界にとって大事件となったのが、 前 492年に始まったペルシャ戦争であった。

 


東方のペルシャ帝国の皇帝ダレイオス1世の送った遠征軍に対し、アテナイやスパルタを中心に結束したギリシア連合軍は、マラトンの戦いで勝利し、さらにその後、サラミスの海戦でクセルクルスの遠征軍も退けた。

 


なぜポリスの連合軍がペルシャの大帝国に勝利できたのであろうか。 ギリシア人たちは、次のように理解した。 何よりも大切なのは自由である。 一人の皇帝が恐怖の力で率いる多数の軍勢よりも、自由で平等な市民たちが祖国を守る気概に満ちたポリスの方が、 最終的には優位する。

 


市民として政治的意思決定に参加し、自らの力で

独立を守ることこそ、彼らにとっての自由であった。

 


アテナイ・デモクラシーの全盛期の指導者として知られるペリクレスは、祖国を守る戦いで死んでいった市民のための葬送演説で、次のようにいっている。 「たとえ貧窮に身を起そうとも、ポリスに益をなす力をもつ人ならば、貧しさゆえに道をとざされることはない。 われらはあくまでも自由に公けにつくす道をもち、また日々互いに猜疑の眼を恐れることなく自由な生活を享受している」

 


ここで重要なのは、市民にとって大切なのはあくまでポリスであったということである。

 


ポリスのために市民がいるのであって、逆ではない。 個人の自由や権利を守るために国家があると考える近代とは異質な発想がここには見られる。

 


ギリシア人にとって意味ある人生とは、ポリスの政治や軍事で活躍し、公けの利益に貢献することであった。

 


現代人にとって大切なプライバシーといった感覚とは無縁であった。

 


古代ギリシア人にとって、世界とは混沌ではなく秩序(コスモス)であった。

 


万物を貫く神聖な秩序が存在するのであり、人間はその掟 (テミス) に従わなければならない。

 


ギリシア神話において正義を意味するディケーは女神であり、主神ゼウスとテミスの間に生まれたとされる。 この正義に反するのは人間の傲慢(ヒュブリス)であった(ちなみに、ギリシア悲劇は、優れた能力をもつ英雄が、ヒュブリスゆえに掟を逸脱することで、運命によって敗北し、没落するというテーマを繰り返し取り上げた)。

 


その意味で、古代ギリシア人にとっての自由とは、あくまで法(ノモス)の下に生きることであった。

 


権力をもつ特定の個人ではなく、人々に共通なルールである法に自発的に服従することが、彼ら

の誇りであり、理想であった。

 


感想

 


ギリシア人にとって意味ある人生とは、ポリスの政治や軍事で活躍し、公けの利益に貢献することであったという箇所がおもしろいと思いました。

 


戦時中の日本人も「お国のため」と言われていたのを思い出します。

 


下記の本を参考にしました

 


『西洋政治思想史』

 宇野 重規著

 有斐閣アルマ

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