とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

経済と教育の関係

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 

 


人的資本の増強策と学歴社会の変貌

 


経済社会を中心にした、より大きな社会の変化のなかで、「自己」重視の教育改革は、思わぬ結果と、さらなる展開をもたらすこととなった。

 


経済のグローバル化のもとで進む 「個人化」の流れとシンクロし、 「自己責任」 を求める新自由主義的な動向と結びつくことで、結果として、教育や社会における不平等や格差を拡大するものとみなされるようになったのである。

 


人、モノ、カネ、情報がやすやすと国境を越えて移動するグローバル化が進行するなかで、経済の「メガ・コンペティション(大競争)」が生じているという見方をもとに、先進諸国は、自国の経済力を強化しようと、 従来の福祉社会政策や雇用政策、教育訓練政策を変えつつある。

 


流動性を高め、労働力コストを削減しようとする。

 


雇用にまつわる規制の緩和や撤廃とあわせて、人材育成のあり方 (教育制度や訓練制度)にもメスが入れられている。

 


「知識経済」の要請に応えられる 「21世紀型スキル・能力」を育成することが、「国際競争力」を強化するうえで重要だとみなされるようになったのである。

 


「問題発見・解決能力」 「コミュニケーション能力」「自己啓発・自己開発力」 「自ら学ぶ力」等々、産業界で飛び交う 「21世紀に必要な人材」論のキーワードは、教育界でいわれる改革論議の言葉と驚くほど符合する。

 


教育改革で使われる同じうな言葉を使って、国際競争力を高めるための人材の育成を求める経済界や政界の動きが、 教育改革を後押ししてきたのである。

 


こうした改革の影響を受けつつ、同時に、職業の世界で起きたさまざまな変化の影響を受て、1990年代以後、日本における職業と教育との結びつきには大きな変化が生じつつある。

 


雇用の流動性を高め、労働力コストをできるだけ下げようとする圧力が高まるなかでおこなわれた雇用制度の規制緩和は、「正社員」としての働き口を減らしつつ、派遣や、 パート、アルバイトといった「非正規」職の数と範囲を急速に拡大していった。

 


1994年には77.2%であった雇用者全体 (役員を除く) に占める正規雇用者率は、2011年には64.8%へと減少した。

 


いまや雇用者の3分の1以上が非正規雇用者である。しかも、日本の場合、中高年男性の雇用を守ろうとしたため、雇用の調整は、女性や若者を対象におこなわれた。

 


女性の正社員を減らし、 パートや派遣に替えることや、学校を出たばかりの新卒者の採用を手控えるという方法で、雇用調整をおこなったのである。

 


その結果、とりわけ15歳から24歳の若年層で非正規職に就く者や失業する者が増えていった 。

 


長引く不況のなかで企業は、年功序列的な賃金制度を改め成果主義を取り入れたり、 中途採用を増やして雇用の流動性を高めたりした。

 


かつて「終身雇用」と呼ばれた長期雇用の労働慣行が崩れていったのである。その結果、かつてのように、大学を出たら正社員として就職し、たいていはその会社で定年を迎えるといった学校と職業との結びつきがあたりまえのことではなくなった。

 


何年勤めても時給何百円のまま、という働き方を余儀なくされる「ワーキングプア」と呼ばれる状態が注目を集めるようになった。

 


他方で、若手の起業家育成をねらったベンチャー企業への投資奨励策もおこなわれ、長い時間をかけて昇進し経営者へと上り詰めていく成功モデルとは異なる、若手起業家の成功モデルも登場し

た。

 


これらの変化は、自分の 「働きやすさ」を考えに入れての 「自己選択」の機会を拡大する手段だといわれた。

 


働く側の自由を拡大するという理屈である。

 


「自己選択」 が 「自己責任」とセットとして語られるようになったのである。

 


しかしながら、チャンスは誰にでも平等に開かれているわけではない。教育の場面でも、誰もが高く評価される個性を同じようにもっているわけではない。

 


「総合的な学習の時間」への取り組みにも、自ら学ぼうとする意欲や、知的なことに興味関心をも

つ度合いにも、出身階層による差異があることが調査から明らかになっている。

 


テストで測られる「学力」にも出身階層の影響が

出ることも確認されている 。

 


フリーターなどの非正規の仕事に就くかどうかも、ジェンダーや出身階層の影響があるといわれる。

 


さらには、学歴の影響もある。つまり、自己選択

や自己責任が強調されるようになることとは裏腹に、個人が選べない要因(属性)によって、教育や職業の機会は制約され続けていたのである。

 


これらの結果をふまえ、90年代に進行したあまりに楽観的な「ゆとり」をめざす教育改革は転換を余儀なくされた。

 


しだいに教育における「格差」が教育政策のなかでも注目されるようになった。

 


そうした政策変更成果については今後の検証を待たねばならないが、「ゆとり」教育の転換や、高校教育の無償化、さらには小中学校の学級規模を最大35人にする35人学級の実現に向けた政策は、こうした「格差」問題への対応をも視野に入れたものであった。

 


感想

 


経済と教育は、密接な関係にある印象を受けました。

 


経済に合わせて教育も変化している感じもします。

 


下記の本を参考にしました

 


『Do! ソシオロジー』改訂版       

 現代日本社会学で診る

 友枝 敏雄 他1名

 有斐閣アルマ

 

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