こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
仕事男と、家事+仕事女
配偶者とともに、家族としての生活を始めることを考えてみよう。
人間に必要不可欠な活動として、料理・後片づけ・掃除・買い物などの労働がある。
家族になれば、それらをある程度は共同でおこなうことになるだろう。
それに加えて、資本主義社会である日本では、生
存のために金銭を得ることも絶対に必要な活動である。
ここで、商品や労働力を売って金銭を入手する労働を「賃労働」とし、無賃で生活維持に必要な活動を「家事労働」と名づけてみよう。
「家族する」ということは、賃労働と家事労働をどのように担いあうか、という課題を抱えることでもある。
賃労働と家事労働を、誰がおこなうのか?
一つの家族のなかで、ただ一人の賃労働者である主(男)とただ一人の家事労働専従者である主婦(女)というかたちで、家族するための労働がジェンダー化したのは近代以降である。
これを、イヴァン・イリイチは「仕事男」と「家事女」と呼んだ。
日本では、第二次世界大戦後、主婦の存在意義と家事労働の価値をめぐって 「主婦論争」が起こり、妻無用論や家事労働有償論、主婦解放論などが登場した。
しかし現実には、家事労働はもっぱら既婚女性、つまり主婦によって担われてきた。
この家族のあり方は、第2次世界大戦後に「近代家族の大衆化」として普及したもので、①夫は稼ぎ手となる男性賃労働者で、妻は専業主婦、つまり男性賃労働者1人の核家族を想定した固定的で異性愛的なジェンダー・モデルと、②少ない子ども数、という二つの特徴をもつ。
これを、「戦後家族モデル」と呼ぼう。
現在の家族は、単に人々の慣習によるのではなく、法律と、この戦後家族モデルにもとづくさまざまな経済政策によっても形成された。
まず政府は、戦後の過剰人口対策として少産化を達成するため1948年に人工妊娠中絶を合法化した。
大半の家族の子ども数が2人から3人となって少産化が達成された1960年代以降には、戦後家族モデルをもとに「3歳までの子育ては母親がおこなうべき」という「3歳児神話」や保育所への入所基準、税金の配偶者控除、女子への家庭科教育などを制度化し、専業主婦化を促進した。
また、当時の労働市場には既婚女性に対する厳しい差別が慣習としてあり、多くの女性たちが「家事女」へと追いやられたのである。
そのうえ、日本の主婦は経済の好況に応じて再就職し、低賃金労働者にもなる。
だが既婚女性の就労は戦後家族モデルのもとで家計補助的と位置づけられるので、既婚で賃労働にたずさわる女性が増加しているにもかかわらず、8割以上の家庭で家事労働は主に妻によって担われている(内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査』2002年調査)。
他方、既婚男性の家事時間は妻の就労の有無によってほとんど変化を受けず、先進諸国のなかで際だって少ない (総務省統計局「社会生活統計指標 2004」)。
その結果、戦後日本では、夫は一貫して「仕事男」であり、妻は「家事女」だけでなく多忙な「家事+仕事女」となった。
感想
戦後日本では、夫は一貫して「仕事男」であり、妻は「家事女」だけでなく多忙な「家事+仕事女」となったという見方がおもしろいと思いました。
男性の都合のいいようになっていると、つくづく思いました。
下記の本を参考にしました
伊藤公雄 牟田和恵編著