こんにちは。冨樫純です
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル
家に帰れないお父さんたち―「帰宅拒否症候群」
どんな会社にも、退社時には独特の雰囲気が流れます。
仕事後の疲労感、何かを成し遂げたという充足感、会社からの解放感……、そんな気分を抱えたまま、それぞれのアフター・ファイブが始まります。
飲み屋で仲間と一杯やる人、デートの待ち合わせに急ぐ人、わき目もふらずに真っ直ぐ家へ帰る人もいるでしょう。
そんななかで、帰宅拒否症候群の人はいつまでたっても自分の机を離れようとしません。
後片付けなどをするともなしに、同僚が全員いなくなるまで会社に残っています。その動作は鈍く、表情は暗い。
ガランとした職場を見渡し、しかたなく席を立ち重い足取りで社屋を出て行くのです。
帰るべき家があり、妻子がいて、心身ともに仕事の疲れをいやすべき憩いの場があるはずなのに、帰りたくないと思う。心の奥底では「帰りたい、帰らなければ」と感じていながら、まったく別の行動をとってしまいます。
関谷透さんの書いた『帰宅拒否症候群――お父さんはもう帰れない』(プラネット出版)の一部で
ある。
家に帰りたいのに帰れない。飲み屋に入って時間をつぶしたり、喫茶店でボーッとして時間をつ
ぶす。
深夜、自分の家の門まで来ているのに、入る気になれない。なかにはカプセルホテルを定宿にしている人もいるという。
ひどい場合は、仕事もないのに休日出勤するケースもあるらしい。
関谷さんによれば、この帰宅拒否症候群の背景には、現在の会社人間たち全般に共通する「ストレ
ス洪水」があるという。
とくに、中高年にもなれば、OA化についていけない、エリートコースからはずれてショックを受ける、上司と部下の板挟みにあって悩む、部下に無視される、せっかく栄転したのに、栄転したとたん目的を見失って無気力になってしまう、といったことはよくあることだ。
こうした会社でのストレス=疎外感に加えて、「家庭に居場所がない」「妻が子どもといっしょになってバカにする」「家族から無視されているように感じる」といった、家庭からの疎外感という、ニ重の疎外感が、男性たちを「帰宅拒否症候
群」に追いやるのだろう。
関谷さんは、男性の帰宅拒否症候群からの脱出
のためには、何よりもまず「妻がお父さんを大切
にする」ことが重要だという。
出世や収入や健康管理のことをうるさく言ったり、家庭での居場所を制限したり、子どもといっしょになって無視したりすることをやめ、お父さんをもりたててやることが、解決の最良の手段というわけだ。
「そうだ、そうだ」と、うなずいているお父さんも多いかもしれない。ただし、ぼくは、帰宅拒否症候群の原因は妻子の方ばかりでなく、男性の方にもあると思う。
古い「男はこうだ」という思いに縛られた男性たちが、会社でスポイルされ、「せめて家庭では男らしく」と思っても、そこにも居場所がないというのが、この帰宅拒否症候群の背景にあると思うからだ。
たとえば、この帰宅拒否症候群の治療法に、給料を銀行振り込み制から手渡し制にするというのがあるそうだ。
給料日に、家で「これで一月やっていくように」と、ぽんとテーブルの上に給料袋を叩きつける。
これで、帰れなかったお父さんがけっこう帰れるようになるという。
たぶん「誰が稼ぎ手なのか」を家族の前で示せたことで、自信を取り戻せるようになるのだろうと
思う。
多くの日本の男性たちは、家計管理を妻まかせにしている。夫が家計を握る場合が少なくない欧米の女性たちからみると、けっこう意外に見えるらしい。
もちろん、夫婦関係や子どもとの関係を、良好なものにすることが大切なのはよくわかる。
しかし、その責任を、一方的に家族の方に押しつけるのはどうかと思う。むしろ、現在の家族関係を、うまくつくれなかった自分の責任についても自覚する必要がある。
その意味で、家族とのコミュニケーションを広げるとともに、自分がとらわれている固定的な「男はこうあるべし」という思い込みに気づき、そこから自由になることも、帰宅拒否症候群からの脱出法としては重要なのではないかと思う。
感想
一昔前に少し話題になった現象だと思いますが、その原因が分かりました。
大人でも子どもでも自分の居場所はやはり大事だと思いました。
下記の本を参考にしました
『男性学入門』
伊藤 公雄
作品社