こんにちは。冨樫純です。
本を紹介します。
①この本を選んだ理由
以前から、この問題が気になっていたので、読んでみようと思いました。
②こんな本です
『子どもの貧困』日本の不公平を考える
阿部 彩著
健康、学力、そして将来…。
大人になっても続く、人生のスタートラインにおける「不利」。
OECD諸国の中で第2位という日本の貧困の現実を前に、子どもの貧困の定義、測定方法、そして、さまざまな「不利」と貧困の関係を、豊富なデータをもとに検証する。
貧困の世代間連鎖を断つために本当に必要な「子ども対策」とは何か。
③こんな言葉が印象に残りました
すべての子どもが享受すべき最低限に必要なものとは何であろうか。
実は、それが貧困基準そのものなのであるが、ここまでは、世帯所得が社会全体の中央値の50%といった抽象的な貧困基準を用いて議論をすすめてきた。
ここでは、一歩戻って、社会がすべての子どもに保障すべき最低限の生活は何かという点について、「相対的剝奪」(デプリベーション)とよばれる手法を用いて描写していきたい。
「相対的剝奪」は、イギリスの長い貧困研究の中で育まれてきた手法であるので、その説明のために、少々、学術的な回顧を許して頂きたい。
イギリスの著名な貧困研究学者のピーター・タウンゼンド(1928年〜)は、人間の最低生活には、ただ単に生物的に生存するだけではなく、社会の一構成員として人と交流したり、人生を楽しんだりすることも含まれると論じた。
彼はそれができない状態を「相対的剝奪」(rela-
tive deprivation)と名付け、「人々が社会で通常手にいれることができる栄養、衣 服、住宅、住居設備、就労、環境面や地理的な条件についての物的な標準にこと欠いていたり、一般に経験されているか享受されている雇用、職業、教育、レクリエーショ 家族での活動、社会活動や社会関係に参加できない、ないしはアクセスできない」状態と定義する (Townsend 1993,訳は芝田 1997)。
そして、タウンゼンドは、「週に一回は肉または魚を食べることができる」など基本的衣食住を表す項目から、「年に一回は旅行に行くことができる」「友人を家に招待する」など社会的な項目まで、60の項目をピックアップし、それらの充足度を測ることによって「剝奪状態」にある人の割合を推計した。
これが、イギリスにおける60〜70年代の「貧困の再発見」である。
タウンゼンドはまた、人々の困窮の度合いを測る「ものさし」として社会のほかの人の生活レベルを用いるという相対的概念を、それまで絶対的なものとして捉えられていた貧困概念に持ち込んだ。
これが、「相対的貧困」の始まりである。人が尊厳をもって生きるためには、その社会に相応の生活レベルが必要であり、それが満たされない状態を「貧困」として再発見したのである。
(本文より引用)
④この本が気になった方への2冊はこちら
『弱者の居場所がない社会』
貧困・格差と社会的包摂
阿部 彩著
『子どもの貧困II』
解決策を考える
阿部 彩著
興味を持ってくれた方はいるでしょうか?
興味を持った方は、是非読んでみてください。