こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。
感想も書きたいと思います。
話題 修道士の眠気を醒ますコーヒー
昔(1970年代)、「学生街の喫茶店」(作詞・山下路夫、作曲・すぎやまこういち)というフォークソングが流行したことがありました。
当時、学生街といえば喫茶店がつきもの。
授業が終わった後に仲間と喫茶店にたむろし、一杯のコーヒーで何時間も粘ったものでした。
今では大学のキャンパスが郊外に移転し、学生街の喫茶店も姿を消し、学生たちも喫茶店よりカラオケで盛り上がることが多くなったのでしょうか。
喫茶店は友人や恋人と行く場所ですが、かつては見知らぬ人同士が集まって、さまざまなことを話し合うサロンのような場所でした。
そもそもサロン(salon)という言葉は、フランスなどの大邸宅の応接間に由来し、やがてそうした場で行われる社交会や展覧会、さらには人々が集まる店―喫茶店や美容院など―も意味するようになりました。
このサロンが西欧史のなかでもつ意義については、さまざまな形で触れられてきました。
とりわけ、サロンは、西欧において「公共性」が誕生した場として注目されています。
このサロンで供されたのがコーヒーです。
コーヒー豆の原産地は東アフリカといわれますが、飲み物としてのコーヒーの普及に際しては、スーフィーと呼ばれるイスラム神秘主義の僧侶が大きな役割を果たしました。
臼井隆一郎『コーヒーが廻り 世界史が廻る』(中公新書)は、コーヒーの歴史から世界史をたどっていますが、コーヒーの起源をめぐる物語の一つにアラビアの山羊飼いカルディの物語があるといいます。
カルディが、あるとき、山羊をある牧草地に連れていくと、山羊が興奮して夜になっても寝つこうとしませんでした。
困ったカルディは、イスラムの修道院に相談に行きました。修道院長が調べてみると、山羊がある灌木の実を食べていることがわかりました。
修道院長は、この実をゆでて飲んでみると、その晩は寝入ることができませんでした。
このことから、修道院長はあることを思いつきま
す。イスラムの修道僧は夜の礼拝を義務づけられていますが、なかには礼拝中に居眠りをする不届き者がいます。
修道院長はその飲み物を修道僧に飲ませたのです。すると、効果はてきめん、その後、夜の礼拝で居眠りする者はいなくなったというのです。
こうして、コーヒーは最初はイスラム教の僧侶が祈騰中の眠気を防ぐ薬として飲み始めました。
それがやがて、香辛料や砂糖と並ぶ世界商品となり、イギリスのコーヒー・ハウス、フランスのカフェを生み、その一方でアフリカ大陸や南アメリカ大陸におけるプランテーション建設によって先住民族の搾取労働を誕生させ、ついにはドイツではファシズムの登場にも関係をもつ、というように、コーヒーの歴史は世界の歴史と常に密接な関係をもってきました。
感想
コーヒーは最初はイスラム教の僧侶が祈騰中の眠気を防ぐ薬として飲み始めたという事実がおもしろかったです。
下記の本を参考にしました
『ライフイベントの社会学』
片瀬 一男著