とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

「素の自分」から「装った自分」へ

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題 「素の自分」から「装った自分」へ

 


清水市立桜中学校でさくらまる子さんと同級生の永沢君には、藤木君と小杉君という仲のよい友だちがいます―この物語は「ちびまる子ちゃん」の続編で、主人公は思春期の永沢君です(さくらももこ「永沢君」小学館)。

 


冬休み明け、花輪君からポール・マッカートニーの新曲のブートレッグ(海賊版)の話を聞いた後、小杉君に「おい、正月にモチ何個食った?」と聞かれた永沢君は、話題が「ブートレッグとは違いすぎる」と思い、思わず小杉君に絶交をいいわたします。

 


放課後、永沢君は藤木君と市立図書館に行き、ゲーテの詩集を読んで女の子の注意を引こうとします。

 


その後、一人で書店に行って、『100倍カッコよくなれる本」を買い、それを読んで「笑顔の研究」に励みます。

 


翌朝、学校に行った永沢君は、その笑顔をさっそく藤木君や小杉君に試してみます。

 


思春期の友人関係は何かと気苦労が多いようです。思春期を迎えた永沢君も、不良になろうとタバコを吸ったり、将来はビートたけしのような漫才師になろうと藤木君と練習をしたり、英語のテストで一点を取った藤木君を小杉君と一緒に慰めたり、小杉君の肥満を藤木君と心配したり……と、意外と友人関係は狭いようです。

 


それでも永沢君、数少ない友人にさかんに気を遣っています。

 


近年、「個性」を煽られた」若い世代において、友人関係に代表される「親密圏の重さ」を指摘する声があります。

 


土井隆義(「「個性」を煽られる子どもたち」岩波書店、「(非行少年〉の消滅」信山社)によれば、

近年の児童による衝撃的な非行の背後にあるのは、世間でいわれていることとは逆に「親密圏における過剰な配慮」だといいます。

 


そして、土井は、子どもたちにこうした過剰な配慮を強いているものとして、友人関係を「重く」する「個性重視」の学校教育の動向に着目します。

 


なぜなら、1990年代に教育改革とくに個性化・多様化の流れが本格化するなかで、競争を強いる学校的状況で個性を演出するためには、それに先立って自分の個性によって親密な他者(友人など)を傷つけぬよう細心の配慮をする「やさしい関係」が求められるからです。

 


その結果、親密圏においては、かつてとは逆に「素の自分」ではなく、「装った自分」の表出が求められます。

 


感想

 


少し前は個性を煽られる子どもたちが、現代ではいじめられないように、空気を読んで目立たないようにしていると感じます。

 


下記の本を参考にしました

 


『ライフイベントの社会学

   片瀬 一男著

 世界思想社