とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

経験経済とは

こんにちは。冨樫純です。

 


「経験経済」についてのコラムを紹介します。

 


体験型観光が流行っていますが、この発想から来ていると感じました。

 


パインとギルモアは、経験経済(experience economy)という語を造語し、製品やサービスに代わる新しい経済行動の出現を力説した (Pine & Gilmore,1999)。

 


製品はモノを買うことで消費者が望む便益をもたらす。

 


サービスは消費者が自分の望む行為をしてもらったり、行動のための枠組みを提供してもらう(インターネットのプロバイダのように)ことに対して対価を支払う。

 


一方、経験経済では経験することそのものが消費である。

 


ディズニーランドの経験は、サービスではあるが、サービスの過程そのものが売り物の経験経済である。

 


これに対して美容院で髪を切るというサービスは、切る過程ではなく切った結果が売り物である。

 


インターネットのプロバイダサービスも使うこと自体が目的ではない。

 


それを使ってコミュニケーションするなどの結果が求められる。

 


ところがディズニーランドはそこにいてディズニーランドを体験していること自体が目的である。

 


これはコンサマトリー(自己目的的)な行動であり、田村(2006)は「体験消費」ともよぶ。

 


経験経済は多岐に及ぶ。

 


美容院のサービスも、髪を切ることに加えて、快適な設備の中でお茶を飲みながら美容師とにこやかに話をして時を過ごすといった工夫が、美容院サービスを自己目的化させる。

 


コンサートや観劇、スポーツ競技の観戦、旅行、レストランでの食事なども、ベーシックなサービスから経験経済へと発展させることができる。

 


顧客の感性を刺激し、その時間を経験すること自体を望ませる、つまりそこにしかない経験への没入を生み出させることがポイントである。

 


こうした経験は代替不可能である。

 


商品やサービスはブランド・ロイヤルティによって顧客をつなぎとめるが、経験経済は他では得ら

れない代替不可能な経験によって顧客をつなぎとめるのである。

 


このことが経済コストで消費を考えるフレーミングを遮らせ、経験経済のフレーミングで消費者を行動させることにつながる。

 


「感動をありがとう」という言葉は、まさにこのフレーミングを反映している。

 


それが追加的な価格プレミアムを顧客に支払わせる。

 


下記の本を参考にしました

 


社会心理学』 

 池田 謙一 他2名

 有斐閣