こんにちは。冨樫純です。
独学で法哲学を学んでいます。
そこから、関心のある法哲学的問題を取り上げて紹介したいと思います。
感想も書きたいと思います。
問題 児童手当は独身者差別か?
児童手当は、児童手当法(昭和四十六年五月二十七日法律第七十三号)に基づいて支給されている。
法律の目的は、当該法律の第1条に記されることが多い。
児童手当法第1条によれば、児童手当の目的は、「家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資すること」にある。
つまり、①子育て世帯の生活の安定と、②次世代の育成という2つの目的を児童手当は持っている。
児童手当を受給できるのは、中学生までの児童のいる世帯である。
つまり、対象となる児童のいない世帯は、児童手当を受給できない。
そのなかには、子どもが成人になった世帯のように、過去に児童手当を受給していた世帯もあるが、子どもを持たない/持てない世帯のように、児童手当を受給していない世帯や受給する見込みのない世帯もある。
児童手当の国の負担分は税と公債によって賄われているので、当然のことながら、納税しながら児童手当を受給しない世帯も数多く存在する。
国家は多様な生き方に対して中立的でなければならない、といわれる。
この中立性の要請の典型は、政教分離である。
特定の宗教を信仰する人を優遇することは、中立性の要請に反する。
では、児童手当は中立性の要請に反するだろうか。
児童手当は、子どもを持つ生き方をする人を、そうでない生き方をする人よりも金銭的に優遇している。
そうだとすると、児童手当は多様な生き方に対して中立的でないのではないか。
児童手当は差別的な制度ではないか。
正しく考えるためには、深く考えることが必要である。
そもそもなぜ、国家は多様な生き方に対して中立的でなければならないのか。
感想
おもしろい視点だと思いました。
子どもにお金がかかるのはわかりますけど、ぼくも、独身者を差別しているように思いました。
下記の本を参考にしました
『問いかける法哲学』
瀧川 裕英著