とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

同性間の婚姻を法的に認めるべきか?

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で法哲学を学んでいます。

 


そこから、関心のある法哲学的問題を取り上げて紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


問題 

 


同性間の婚姻を法的に認めるべきか?

 


「同性間の婚姻を法的に認めるべき」と主張するリベラルと、 「同性間の婚姻を法的に認めるべきではない」と主張する保守派という、2つの立場が対立する。

 


一方でリベラルは、現在の家族制度をより多様な家族の形に対して開くよう求める議論を展開して、多様な生き方を追求する自由・様々な生き方を追求する個々人の間の平等や諸権利・人々の多様な生き方に対する制度の中立性といったリベラルな諸価値を掲げる。

 


これに対して保守派は?社会の伝統や家族の本質的価値の名による議論を展開して、その社会にとっての家族の意義や伝統を重視する立場に基づいて「リベラルな立場は、個々人の利益や権利を言い募るだけで、社会の重要な基礎である家族を軽視し、ひいては家族の領域そのものを破壊する」と批判する(金野 2015:18)。

 


更なる問題点

 


この図式では、リベラルは、精神的自由や政治的自由のような「人格的自由」の尊重を説く一方、経済活動の自由を重視せず経済活動への介入や財

の再分配を擁護する立場であるのに対して、保守派は、人格的自由への介入を認めるが経済的自由は尊重する立場だと説明される。

 


だが、このような単純な二項対立図式に基づくと、人格的自由も経済的自由も尊重しようとする「リバタリアン」や、どちらも尊重しない「権威主義者」を適切に位置づけることができない(森村 2001:14-16; 森村編著 2005:2-3)。

 


さらにいえば、「同性間の婚姻を法的に認めるべきか?」という問いに対して答えるためには、同性婚の賛否だけを論じることで足りるのであろうか。

 


この点について、例えば、同性婚に限らず、なぜ一夫多妻・一妻多夫・群婚などは法的に認められないのか。

 


そもそも、法的に認められる婚姻を「一対の異性

間」に限定する理由はどこにあるのか。

 


婚姻を異性間に限定する理由として直ちに思い浮かぶのは、婚姻の意義を生殖や子の養育と結びつける見方に基づく議論である。

 


もっとも、婚姻と生殖を結びつけて同性婚を否定する議論に対しては、「生殖能力のある夫婦にも親にならない自由があること」や「生殖能力のない夫婦も婚姻法上の保護を受けうること」などを理由に、婚姻と生殖との不可分性に異を唱える見方も示されている。

 


したがって、異性婚主義の正当性は、いかなる婚姻観を前提とするかに依存する問題だということができる(福嶋 2015:55-56)。

 


それゆえ、「同性間の婚姻を法的に認めるべきか?」という問いに対して注意深く答えるためには、「婚姻とは何か?」「国家が婚姻について法的に制度化するのはなぜか?」「国家による婚姻の法的制度化はそもそも必要か?」といった問題を論じなければならない。

 


感想

 

一般的には、リベラル派と保守派の二項対立図式で議論されているようですが、この他にも色々な問題点があることを学びました。


難しい問題だと思いました。

 


下記の本を参考にしました


『問いかける法哲学

   瀧川 裕英著

 法律文化社