こんにちは。冨樫純です。
ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。
法律的なものです。
質問の内容は、主に女性目線からものです。
質問
均等法が強化されたといっても、罰則規定がないから性差別がなくならないのでは。
それに、差別されたときに「泣き寝入りをする
な」といわれても、裁判所に訴えるのはちょっとめんどうそう。
解答
確かに罰則規定のないことが、従来から均等法の欠陥の1っとして指摘されています。
また、募集·採用や配置昇進等に関する差別が禁止されているといっても、実際に裁判所に訴え出ることはなかなか難しい。
そこで、均等法は、法違反があったときにお金を
かけずにすばやく是正するために裁判所とは別の救済(紛争解決)制度を設けています。
その1つは、厚生労働省が全国都道府県に設置している労働局です。
そこの長である都道府県労働局長が、当事者の言い分をよく聴いたらえで均等法違反と判断した場合には、使用者に対して速やかに差別的取扱いを中止するよう助言指導·勧告を行います(17条)。
もうひとつは都道府県労働局の付属機関として設けられている紛争調整委員会(機会均等調停会議)です(18条以下)。
この委員会は、公平·中立な第三者(学者、弁護士などの学識経験者)を仲介とした労働者と使用者との話し合いによる円満解決の場を提供します。
労働者と使用者の双方からそれぞれの言い分を十分に聴き、歩み寄る余地がある場合には、両者が受け入れられるような調停案 (和解書)を作成して、それによる円満な解決をめざします。
この調停手続は紛争当事者の一方 (多くの場合は労働者)からの申請だけで開始されます。
また、労働者が都道府県労働局長に援助を求めたり、調停申請をしたことを理由として、使用者が解雇その他の不利益取扱をすることが禁止されています。
均等法には罰則規定がないけれども、企業名の公表制度が法違反の制裁措置として設けられています(30条)。
使用者が均等法違反について厚生労働大臣の勧告を受けたのに、それに従わなかったときには、企業名の公表という社会的制裁が課せられるわけです。
この制裁措置が発動された場合には、新聞等のマスコミで取り上げられることになりますから、企業にとっては大きなプレッシャーとなるでしょう。
下記の本を参考にしました
『ライフステージと法 』
副田 隆重 他2名
有斐閣アルマ