こんにちは。冨樫純です。
「利益」についてのコラムを紹介します。
現代での「利益」は私的利益をイメージしますが、近代までは公共の利益のことを指していたようです。
少し、驚きました。
古代ローマのキケロが国家を公共の利益によって結び付けられた人的集合として定義したように、人々に共通する利益や、社会全体にとっての利益という概念は、政治を考える上できわめて重要な意味をもってきた。
このような意味での公共の利益は、各個人や集団に特殊な利益である私的利益と対置されるが、私的利益が積極的に語られるのは近代を待たなければならなかった。
ちなみにアリストテレスは、共同体内部における等価交換を重視し、市民相互間の取引において3%の利子が生じることを否定的に論じている。
これに対し宗教内乱を経験した17世紀以降、宗教的な情念の噴出を抑止するためにも、むしろ経済的な利益や儲けの追求を肯定しようとする議論が登場する。
私的利益の追求活動を正面から認め、むしろその力を借りて秩序を作り出すことに関心が集まったのである。
経済学の創始者となったアダム·スミスは、利益をむしろ人々を結び付けるものとして論じている。
下記の本を参考にしました
『西洋政治思想史』
宇野 重規著
有斐閣アルマ